「大陸系メガテック企業」は、なぜ強いのか?
アマゾンに対抗する中国のネット企業、アリババ。その事業の中核はEコマース。BtoB「アリババドットコム」、CtoC「タオバオ」、BtoC「天猫(Tモール)」などを展開しています。
しかし、アリババの事業はそれだけにとどまりません。アマゾンがネット書店からエブリシングカンパニーへと進化したように、アリババもまた物流やリアル店舗、クラウド、金融などに手を広げています。特に、オンラインとオフラインの融合(OMO:Online Merges Offline)では、アリババはアマゾンを凌駕していると言ってもよいでしょう。
オンラインとオフラインの情報が完全に同期
リアル店舗におけるアリババの先進性は、アマゾン以上と言えます。アリババの創業者で会長のジャック・マーが2016年に発表した「ニューリテール(新小売)」という概念、OMOのシンボルともいえるのが、スーパーマーケットの「フーマー(盒馬鮮生)」です。
フーマーでは顧客がリアル店舗で買い物をし、購入した食材をその場で料理人に調理してもらうといった、ユニークなサービスによる楽しみがあるほか、オンラインで買い物をして無料で宅配してもらえるという利便性もあります。
たとえば店頭で購入するものを決めた場合にも、すぐには要らないならフーマーのアプリでQRコードを読み取ってオンラインのカートに入れ、あとで届けてもらうことも可能。まさにオンラインとオフラインの融合です。
オンラインとオフラインの情報が完全に同期しているため、リアル店舗に並ぶ商品とフーマーのアプリ上に表示される商品は完全に一致します。
一方、アリババにとっては、匿名性の高い現金ではなくアリペイでの支払いに特化することで、詳細な購入情報が得られるというメリットがあります。
このフーマーのバリューチェーン構造と、アリババグループ事業のレイヤー構造をまとめたのが下の図です。バリューチェーン構造というのは、商品が調達されてから店舗に入荷し、消費者が購入を検討し、実際に買われて手元に届いてからその後のアフターサービスまでの流れのことです。
この図を読み解くと、アリババが先行するOMOにおいて起きていることをより深く理解できます。それは、ただの「新しい小売り」ではないのです。