先進国と新興国の人口ボーナス期

 以下は、先進国と新興国の労働人口/従属人口とその10年変化率を表示しています。※今回は、10年変化率が上昇を続ける期間を人口ボーナス期とみなします。

 表の青いセルに注目してください。10年単位で見ると、世界全体と先進国は、2010年には、人口ボーナス期が終了しています。一方、新興国は、2020年まで人口ボーナス期が続きます。さらに労働人口/従属人口の推移を見ると、先進国は人口ボーナス期が終わった2010年以降は数値がどんどん下がっていきますが、新興国は2020年以降も数値は大きくは下がりません。

 ここから、人口ボーナスの面で見ても、新興国は先進国よりも高い経済成長を上げやすい状況が続くと言えます。

出所:国連データ(2017年)から楽天証券作成

 各国の人口ボーナス期を見てみよう

 人口ボーナス期は、先進国と新興国の全体では、新興国が有利ですが、国により状況は大きく異なるため、各国毎に見る必要があります。

 それでは、先進国の国々について、見ていきましょう。まず、日本と米国、カナダ、オーストラリアです。10年単位で見たデータですが、日本の人口ボーナス期は、なんと1990年に終了しています。米国、カナダ、オーストラリアが2010年に終了しているのに比べ、随分早い終了です。人口ボーナス期の終了後の10年変化率を見ても、日本の減少ペースの速さが目立つ一方、米国、カナダ、オーストラリアは相対的に減少ペースが緩やかです。明らかに、経済成長の面で、日本の人口動態は米国などに対し、不利と言えます。

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 次に欧州諸国を見ていきます。一時的に、10年変化率がマイナスになっている期間はありますが、トレンドで見て、イギリスの人口ボーナス期の終了は2010年です。一方、ドイツ、フランス、イタリアは、日本と同じ1990年の終了です。欧州諸国も日本と同様に、人口ボーナスで見た人口動態は良くありませんが、移民を受け入れているため、労働人口/従属人口の数値は、日本よりやや高めです。ただし、米国、カナダ、オーストラリアと比べると、低いと言えます。

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 最後に、新興国を見てみましょう。人口ボーナス期の終了は、各国でバラバラです。中国、ロシアは2010年に終了し、その後も低下が続きます。特に中国は、労働人口/従属人口の数値が2010年から2050年の40年間で半減し、高速で人口動態が悪化していきます。インド、南アフリカは、2040年まで人口ボーナス期は終わりません。

 両国とも、労働人口/従属人口の数値は、なんと2050年でも2を超えています。人口ボーナスの観点では、両国とも今世紀半ば頃まで、安泰と言えます。ここには掲載しておりませんが、これらの国以外でも、アフリカ諸国の中には、2050年でも人口ボーナス期が続き、人口動態の面で、経済の高成長を期待できる国が多数見受けられます。

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