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本レポートに掲載した銘柄
ソニー
1.2019年3月期は1%増収、22%営業増益
ソニーの2019年3月期は、売上高8兆6,657億円(前年比1.4%増)、営業利益8,942億円(同21.7%増)となりました。また、2019年3月期4Q(2019年1-3月期)は、売上高2兆1,275億円(同9.0%増)、営業利益827億円(同3.7倍)となりました。ゲーム中心に好調でした。
2019年3月期に計上されたEMI再評価益(音楽事業の項で後述)などの一時利益を除くと、実質営業利益は2018年3月期7,096億円、2019年3月期8,093億円となり実質14.1%営業増益となりました。
表1 ソニーの業績
表2 ソニーのセグメント別営業利益(四半期ベース)
表3 ソニーのセグメント別営業利益(通期ベース)
2.セグメント別動向:ゲーム&ネットワークサービス
ゲーム&ネットワークサービス事業の2019年3月期は、売上高2兆3,109億円(前年比18.9%増)、営業利益3,111億円(75.3%増)となりました。また、前4Q営業利益は639億円(同3.3倍)と高水準を維持しました。
2019年3月期は、PS4ハード販売台数は1,780万台と2018年3月期1,900万台から減少したものの、PS4用ソフトの増加が業績に大きく寄与しました。特にソフトのダウンロード販売と追加ソフトウェアが大きく伸びたため、ゲームソフト売上高は1兆2,937億円(前年比40.6%増)と好調でした。採算の良いゲームソフトのダウンロード販売が増えたこと、PS4ユーザー向け会員制サービス「プレイステーションPlus」(2019年3月末会員数3,640万人)によるコミュニティの構築が上手く進み、熱心なPS4ユーザーがゲームソフトを継続的に購入したことが大きく寄与したと思われます。
また、ソニー製ゲームソフトも大きく貢献しました。「GOD OF WAR」(2018年4月20日発売)が1,000万本以上、「Detroit」(2018年5月25日発売)が200万本、「Marvel’s Spider-Man」(2018年9月7日発売)が900万本売れました。
2020年3月期は、会社側は売上高2兆3,000億円(前年比0.5%減)、営業利益2,800億円(同10.0%減)としています。PS4ハード販売台数は1,600万台(同10.1%減)と減少が予想されますが、ゲームソフトなどの増収が予想されます。ただし、次世代機の開発費用やソニー製ゲームの利益貢献が2019年3月期ほど見込めないとして、営業減益の見通しです。
今期のPS4用ソフトは、「Days Gone」(2019年4月26日発売)、「Ghost of Tsushima」「The Last of US Part Ⅱ」などが発売される予定であり、一定の収益寄与が期待できますが、前期の「GOD OF WAR」「Marvel’s Spider-Man」ほどの収益寄与は期待できないため、楽天証券でも、会社予想と同水準の業績を予想します。ただし、ソフトの売れ行き次第ではゲーム&ネットワークサービスの業績上方修正の可能性もあります。
また、今のところ次世代機(名称は「プレイステーション5」になると思われますが、ここでは会社側の呼び方に倣って次世代機とします)の発売時期、価格は不明です(5月21日開催のソニーIRDAYで次世代機のスペックの一部が開示されましたが、これについては後述します)。私は次世代機発売を2021年3月期または2022年3月期と予想しています。既にPS4ハード販売台数は下降局面に入っているため、来期はPS4ソフトも減少に転じ今期に続きゲーム事業は営業減益になると予想されます。楽天証券では来期営業利益を2,400億円(同14.3%減)と予想します(次世代機の寄与は予想に織り込んでいません)。