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本レポートに掲載した銘柄

ソニー(6758)任天堂(7974)

ソニー

1.2019年3月期は1%増収、22%営業増益

 ソニーの2019年3月期は、売上高8兆6,657億円(前年比1.4%増)、営業利益8,942億円(同21.7%増)となりました。また、2019年3月期4Q(2019年1-3月期)は、売上高2兆1,275億円(同9.0%増)、営業利益827億円(同3.7倍)となりました。ゲーム中心に好調でした。

 2019年3月期に計上されたEMI再評価益(音楽事業の項で後述)などの一時利益を除くと、実質営業利益は2018年3月期7,096億円、2019年3月期8,093億円となり実質14.1%営業増益となりました。

表1 ソニーの業績

株価 5,366円(2019/5/23)
発行済み株数 1,250,747千株
時価総額 6,711,508百万円(2019/5/23)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は当社株主に帰属する当期純利益
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの

表2 ソニーのセグメント別営業利益(四半期ベース)

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成
注:2017年3月期1Qよりデバイス部門が半導体とコンポーネントに分離された。また、電池事業売却に伴い2018年3月期よりコンポーネントがその他に吸収された。2020年3月期より、ホームエンタテインメント&サウンド、イメージング・プロダクツ&ソリューション、モバイル・コミュニケーションがエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションに統合。

表3 ソニーのセグメント別営業利益(通期ベース)

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:2020年3月期以降の会社予想と楽天証券予想は、「その他」と「全社及びセグメント間取引消去」を合算して表示している。
注2:2017年3月期1Qよりデバイス部門が半導体とコンポーネントに分離された。また、電池事業売却に伴い2018年3月期よりコンポーネントがその他に吸収された。2020年3月期より、ホームエンタテインメント&サウンド、イメージング・プロダクツ&ソリューション、モバイル・コミュニケーションがエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションに統合される。

 

2.セグメント別動向:ゲーム&ネットワークサービス

 ゲーム&ネットワークサービス事業の2019年3月期は、売上高2兆3,109億円(前年比18.9%増)、営業利益3,111億円(75.3%増)となりました。また、前4Q営業利益は639億円(同3.3倍)と高水準を維持しました。

 2019年3月期は、PS4ハード販売台数は1,780万台と2018年3月期1,900万台から減少したものの、PS4用ソフトの増加が業績に大きく寄与しました。特にソフトのダウンロード販売と追加ソフトウェアが大きく伸びたため、ゲームソフト売上高は1兆2,937億円(前年比40.6%増)と好調でした。採算の良いゲームソフトのダウンロード販売が増えたこと、PS4ユーザー向け会員制サービス「プレイステーションPlus」(2019年3月末会員数3,640万人)によるコミュニティの構築が上手く進み、熱心なPS4ユーザーがゲームソフトを継続的に購入したことが大きく寄与したと思われます。

 また、ソニー製ゲームソフトも大きく貢献しました。「GOD OF WAR」(2018年4月20日発売)が1,000万本以上、「Detroit」(2018年5月25日発売)が200万本、「Marvel’s Spider-Man」(2018年9月7日発売)が900万本売れました。

 2020年3月期は、会社側は売上高2兆3,000億円(前年比0.5%減)、営業利益2,800億円(同10.0%減)としています。PS4ハード販売台数は1,600万台(同10.1%減)と減少が予想されますが、ゲームソフトなどの増収が予想されます。ただし、次世代機の開発費用やソニー製ゲームの利益貢献が2019年3月期ほど見込めないとして、営業減益の見通しです。

 今期のPS4用ソフトは、「Days Gone」(2019年4月26日発売)、「Ghost of Tsushima」「The Last of US Part Ⅱ」などが発売される予定であり、一定の収益寄与が期待できますが、前期の「GOD OF WAR」「Marvel’s Spider-Man」ほどの収益寄与は期待できないため、楽天証券でも、会社予想と同水準の業績を予想します。ただし、ソフトの売れ行き次第ではゲーム&ネットワークサービスの業績上方修正の可能性もあります。

 また、今のところ次世代機(名称は「プレイステーション5」になると思われますが、ここでは会社側の呼び方に倣って次世代機とします)の発売時期、価格は不明です(5月21日開催のソニーIRDAYで次世代機のスペックの一部が開示されましたが、これについては後述します)。私は次世代機発売を2021年3月期または2022年3月期と予想しています。既にPS4ハード販売台数は下降局面に入っているため、来期はPS4ソフトも減少に転じ今期に続きゲーム事業は営業減益になると予想されます。楽天証券では来期営業利益を2,400億円(同14.3%減)と予想します(次世代機の寄与は予想に織り込んでいません)。

グラフ1 ソニーのゲームサイクル:プレイステーションの販売台数

単位:万台
出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

グラフ2 ソニー・ゲーム&ネットワークサービス事業の業績

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

3.音楽

 2019年3月期は売上高8,075億円(前年比0.9%増)、営業利益2,325億円(同81.9%増)となりました。2019年3月期は営業利益の中に音楽出版大手のEMI買収に伴うネット再評価益(一時利益)1,053億円が含まれています。また、2018年3月期営業利益にも不動産譲渡益105億円が含まれています。これらの一時利益を除くと実質営業利益は2018年3月期1,173億円、2019年3月期1,272億円(前年比8.4%増)となります。

 2019年3月期は、実質ベースでは音楽パッケージ(レコード)が減収となったものの、「Fate/Grand Order」を中心とするスマホゲームの営業利益が横ばいとなり、音楽ストリーミング売上高が2018年3月期1,974億円から2019年3月期2,275億円へ増加し業績に寄与しました。

 2020年3月期は、音楽パッケージとスマホゲームは減益になると予想されますが、EMIを期初から連結する影響と音楽ストリーミング売上高の増加がプラス要因としてあるため、会社予想は売上高8,300億円(前年比2.8%増)、営業利益1,350億円(同41.9%減、実質6.1%増)と実質増益が予想されます。

グラフ3 ソニー・音楽事業の売上構成

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成

 

4.映画

 2019年3月期は、売上高9,869億円(前年比2.4%減)、営業利益546億円(同32.8%増)と減収ながら大幅増益となりました。映画製作、メディアネットワーク、テレビ番組制作がともに減収となりましたが、主に映画製作の収益改善によって増益となりました。映画では、「ヴェノム」「モンスター・ホテル3」「スパイダーマン:スパイダーバース」が貢献しました。

 今期会社予想は、売上高1兆800億円(同9.4%増)、営業利益650億円(同19.0%増)です。映画製作、テレビ番組制作の増収を会社側は見込んでいます。

 映画事業は再建中ですが、再建は順調に進捗していると思われます。

 

5.エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)

 2019年3月期まで、ホームエンタテインメント&サウンド(テレビ、オーディオ)、イメージング・プロダクツ&ソリューション(ミラーレスカメラ、業務用映像機器など)、モバイル・コミュニケーションに分かれていましたが、2020年3月期からはこの3事業が一つになり、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)となります。

 2019年3月期は、ホームエンタテインメント&サウンドが大型4Kテレビが堅調に売れたことによって売上高1兆1,554億円(前年比5.5%減)、営業利益897億円(同4.5%増)となりました。イメージング・プロダクツ&ソリューションは、高級ミラーレスカメラとその交換レンズが順調に売れたため、売上高6,705億円(同2.2%増)、営業利益840億円(12.1%増)となりました。

 一方、モバイル・コミュニケーションは、売上高4,980億円(同31.2%減)、営業損失971億円(前年は276億円の赤字)と大幅減収の大赤字となりました。スマートフォン販売台数が、販売不振と営業地域を絞り込んだことによって2018年3月期1,350万台から2019年3月期650万台に減少したことが響きました。

 2020年3月期は、ミラーレスカメラ、テレビの伸びが鈍化する可能性があります。モバイル・コミュニケーションは構造改革の効果、総費用の削減によって、売上高4,100億円(同17.7%減)、営業損失470億円を会社側は予想しています。会社側では2022年3月期の黒字化ないし収支均衡が可能としています。

 このため、EP&S全体の2020年3月期会社予想は売上高2兆2,400億円(同3.5%減)、営業利益1,210億円(同58.2%増)となっています。

 

6.半導体

 2019年3月期は、売上高8,793億円(前年比3.4%増)、営業利益1,439億円(同12.3%減)となりました。見掛け上は営業減益ですが、2018年3月期の営業利益の中に、カメラモジュール製造子会社の持分譲渡益283億円、半導体製造設備の売却益86億円、熊本地震の受取保険金67億円、計436億円の一時利益が含まれています。これを除くと、2019年3月期は19.5%営業増益となります。

 2020年3月期会社予想は、売上高9,900億円(同12.6%増)、営業利益1,450億円(同0.8%増)です。スマートフォン向けイメージセンサーがスマホカメラの複眼化、イメージセンサーの大判化によって伸びるため、売上高は二桁増収となる見込みですが、設備投資増加に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加によって営業利益は横ばいとなる見込みです。

 この会社予想は下方修正されるリスクがあります。アメリカが行いつつある中国ファーウェイに対する各種締め付けによって同社の電子部品調達が減少する可能性があること、中国が報復として中国におけるiPhone販売を制限または禁止する可能性があること等、各種電子部品の需要が米中通商摩擦によって減少するリスクがあるためです。

 また、5月21日に開催されたソニーIRDAYにおいて会社側が示したイメージセンサーの出荷金額予想によれば、暦年で2016年から2021年までは年率13%の比較的高い成長が予想されるものの、2021年から2025年までは年率3%成長に鈍化する見通しです。車載向け(自動運転向け)は成長しますが、スマートフォン向けが鈍化するのが全体の成長率に響く見通しです。設備投資の負担は減るものの、半導体事業のソニー全体の成長への貢献は長期的には限られたものになりそうです。

 

7.金融

 2019年3月期は、売上高1兆2,825億円(前年比4.4%増)、営業利益1,615億円(同9.7%減)となりました。ソニー生命の保有契約高が増加したため増収となりましたが、一般会場の運用益が減少したため営業減益となりました。

 2020年3月期会社予想は、売上高1兆3,300億円(同3.7%増)、営業利益1,700億円(同5.3%増)です。ソニー生命の保有契約高拡大により増収増益が見込まれます。ソニーにとって金融事業は安定成長事業です。

 

8.次世代ゲーム機事業の中身

 5月21日開催のソニーIRDAYにおいて、ソニーはプレイステーション4の後継機(会社側は次世代機と呼んでいます)の中身について一部を公表しました。内容は以下の通りです。

  1. 最新の高性能CPUとGPUを搭載。ゲームシーンの切り替えに要する時間は、PS4Proの8秒に対して、次世代機は0.8秒に短縮される。非常に滑らかな画像が実現する。
  2. 下位互換性を付ける。PS4用ソフトが次世代機でプレイできるようになる。会社側はこれによってPS4で培ったゲームコミュニティーを円滑に次世代機に移行することが出来ると考えている。
  3. レイトレーシング。ゲーム画面の中の光の当たり方をGPUで調節することで実写に限りなく近い表現が可能になる。
  4. SSD。HDDではなくSSD(NAND型フラッシュメモリを組み合わせた記録媒体。小型軽量で動作を高速化できる)を搭載する。データの読み込み、読み出しを高速化することで、ハードウェア全体のパフォーマンスを高速化する。
  5. その他、8K、ディスク対応、3Dオーディオ。
  6. 発売時期、価格、ゲームの内容、発売する国地域はまだ公表されていない。
  7. また、PS4ビジネスは、今後3年間重要なビジネスであり続ける。ネットワークサービスのPS4リモートプレイ(PS4をゲームサーバーとして使い、スマートフォン、パソコンでPS4ゲームをプレイすることが出来る)を継続する。クラウドゲームサービスのプレイステーションナウを強化する。次世代機によるゲームプレイだけでなく、クラウドサービスを強化しゲーマーの選択肢を増やす。

 なお、クラウドゲームサービスのプレイステーションナウ(PlayStation Now)は、現在有料会員約70万人。PS4、パソコン、テレビでゲームをストリーミング配信してプレイすることができます。ゲームタイトル数は約780(ただし旧作がほとんど)、19カ国に展開しています。ネットワークの下り速度は5Mbpsで低遅延化を実現しています。今の設備で500万人までユーザーを増やすことが出来ます。

9.ソニーの次世代機はグーグルのSTADIAに強く影響されるだろう。マイクロソフトとの提携の行方に注目したい。

 ソニーの次世代機について、現時点で開示されたことを評価すると以下のようになります。

  1. 次世代機ビジネスは超高性能ハードウェアを中核としたビジネスであり、PS4ビジネスの延長線上にあると思われる。
  2. 高性能CPU、GPUを搭載し、下位互換性をつけるとなると、次世代機発売時のハードウェアの価格は、PS4発売時の3万9,980円よりも高くなる可能性がある。あるいは、価格を抑えると、ハードウェアの採算が悪化する可能性がある。また、次世代機の価格がPS4よりも高くなった場合、ユーザー層が家庭用ゲームのコア層に限られる可能性がある。実際に下位互換性が必要かどうかは、筆者は疑問である。ゲームユーザーは新しいものを好む傾向があり、PS4は互換性がなくとも大成功している。
  3. ソニーの次世代機は、2019年中にサービスが開始されるグーグルのクラウドゲームサービス「STADIA(ステーディア)」の影響を強く受けると思われる(グーグルのSTADIAについては、楽天証券投資WEEKLY2019年4月5日号を参照)。もし、STADIAの性能が遅延が少なく、多くのゲームがストレスなく楽しめるものであり、価格体系もユーザーが満足でき、サードパーティが新作ソフトを供給してもよいと考えるものであれば、手持ちのパソコン、スマホ、テレビでゲームをプレイするのが近い将来普通になる可能性がある。高い家庭用ゲーム機を購入するプレイヤーは、よほどの高精細CGを使った大容量アクションゲーム(例えばカプコンの「モンスターハンター:ワールド」)のプレイヤーに限られてしまう可能性もある。
  4. 筆者は今のところ、ソニー次世代機の発売は2021年3月期または2022年3月期と考えている。グーグルのSTADIAが年内にサービス開始となるなら、ソニー次世代機に先行し、普及期がソニー次世代機と重なる。そのため、次世代機の市場では、ソニーの競合相手はグーグルになるが、グーグルは世界最高水準のインターネット技術とAI(人工知能)技術を持ち、手元に潤沢な資金を持つ会社である(ネットキャッシュ(現金+短期有価証券-有利子負債)は2019年3月末約12兆円。同時期のソニーのネットキャッシュは金融部門を除いて3,977億円)。ソニーは強大な競争相手と対峙することになる。

 ソニーの次世代機についての公表に先立ち、5月17日付けでソニーとマイクロソフトは、パートナーシップに関する意向確認書を締結したと公表しました。まず、ソニー、マイクロソフトのゲームやコンテンツのストリーミングサービスに使うための将来のクラウドソリューションをMicrosoft Azure(マイクロソフトの商用クラウドサービス)を活用して共同開発することを検討します。また、ソニーのゲームやコンテンツのストリーミングサービスに、現在のAzureのデータセンターベースのソリューションを利用することも検討します。

 次に、半導体とAIでの協業も検討します。ソニーのイメージセンサーとマイクロソフトのAIを組み合わせることを検討します(例えば自動運転に使う)。また、マイクロソフトのAIをソニーのコンシューマ向け製品に採用することを検討します。

 現時点では、これらのテーマを両社で検討する意向確認書を交わした段階であり、話し合いはこれからです。しかし、インターネットとAIで高い技術力を持ち、潤沢な資金を持つマイクロソフト(2019年3月末ネットキャッシュは6兆4,000億円)との早期の「同盟」締結は、グーグルと対峙することになるソニーにとって重要です。今後の展開に注目したいと思います。

 

10.目標株価を5,000円→5,500円に微調整する

 今期2020年3月期のソニーの業績は、ゲーム&ネットワークサービスにおいて会社予想に対して上方修正の可能性がある半面、半導体は(前述したように)下方修正リスクがあります。そのため、今回の2020年3月期楽天証券業績予想は、会社予想と同じ、売上高8兆8,000億円(前年比1.5%増)、営業利益8,100億円(同9.4%減)としました。見掛け上は減益予想ですが、2019年3月期の音楽部門におけるEMI再評価益等の一時要因を除いた実質営業利益8,093億円と比較すると、横ばいとなる見通しです。

 なお、中国で組み立てているPS4ハードのアメリカ向け輸出には、今後25%の追加関税がかかる可能性がありますが、これに対する会社側の対応は未定です。

 また来期2021年3月期は、ゲーム&ネットワークサービスの減益、映画の増益、モバイル・コミュニケーションの赤字縮小などを考慮し、売上高8兆6,500億円(前年比1.7%減)、営業利益7,950億円(同1.9%減)と予想します。

 今後6~12カ月間の目標株価は、前回の5,000円を微調整して5,500円とします。最大利益部門であるゲーム&ネットワークサービスには次世代機の成否とグーグルとの競争という不透明要因があります。自社株買い2,000億円(2019年5月17日~2020年3月31日、上限6,000万株、2,000億円)には一定の評価をして良いと思われますが、グーグルとの競争を前に手持ち現金が減少するリスクがあります。当面は、次世代機の更なる内容の開示と、グーグルのSTADIAの詳細を待ちたいと思います。

 

任天堂

1.ニンテンドースイッチ小型版が発売される可能性が高い

 前回レポート(楽天証券投資WEEKLY2019年5月10日号)は4月26日開催の任天堂決算説明会の内容に基づいて執筆したものです。その後訪問取材した結果、任天堂に対する見方を修正します。

 任天堂が抱えている問題の一つは、3DSの後継機、即ち携帯型ゲーム機市場の今後をどう考えるのかということです。3DS販売の今期会社予想は、ハード100万台、ソフト500万本と、市場が消滅しかかっていることを示していますが、会社側がこの市場を捨てるのか、再生するつもりがあるのかが任天堂への投資を考える上で重要になっているのです。私が得た結論によれば、任天堂は携帯型ゲーム市場を捨てるつもりはないと思われます。

 任天堂が携帯型ゲーム機市場を捨てるつもりがないのであれば、3DSの後継機か、昨年から報道されているニンテンドースイッチ小型版のいずれかを近い将来発売する可能性が高いと思われます。楽天証券では、早ければ今年夏~秋に、遅くとも来期中にはニンテンドースイッチ小型版が発売される可能性が高いと予想します(別のソフトを開発しなければならない3DS後継機よりもスイッチと同じソフトが使えるスイッチ小型版のほうが経営効率が高くなると思われます)。その場合、今期以降または来期以降の業績にプラス要因が発生すると予想されます。

 

2.目標株価を4万円→4万7,000円に引き上げる

 ニンテンドースイッチ小型版が発売される可能性が高くなったと思われますが、発売時期にはまだ不透明な部分があるため、前回レポートの業績予想は今回は修正しません。ただし、今後6~12カ月間の目標株価は、前回の4万円から4万7,000円に引き上げます。楽天証券の2021年3月期予想EPS2,157.4円にスイッチ小型版への期待を含むPER20~25倍を当てはめました。一定の投資妙味を感じます。

表4 任天堂の業績

株価 38,630円(2019/5/23)
発行済み株数 119,125千株
時価総額 4,601,799百万円(2019/5/23)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:発行済み株数は自己株式を除いたもの
注2:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益

本レポートに掲載した銘柄:ソニー(6758)任天堂(7974)