本当に知っている?GDPの正しい読み方
GDPを見るときは、まずどのように内需と外需が経済成長に寄与しているかをチェックします。
そして、内需の中心である個人消費の成長度合いを見ます。個人消費はGDPの6割を占める日本の成長の根幹です。これが伸びていないと、日本の成長力のパワーが持続しません。
個人消費が伸びるためには、賃金が上がって所得が増え、その結果、消費額が増えるか、人口が増えることによって全体の消費額が増えるか、あるいは画期的な商品が販売され、消費額が増えるかにかかっています。賃金が伸び悩み、人口が減少傾向である現況では、消費パワーには限界があります。
一方、外需は海外の需要でどれだけ稼いだかを意味します。
輸出が輸入より増えれば、純輸出(=輸出-輸入)が増えてGDPに大きく寄与します。
今回のGDPでは、外需の寄与度が0.4%と4期ぶりのプラスとなりました。しかし、輸出が大きく伸びたことによってGDPに寄与したのではなく、輸出の伸びも輸入の伸びもマイナスだったのに、輸入のマイナス幅の方が大きかったために、GDPの成長を押し上げた格好になりました。
実はリーマン直後以来だった輸入減少幅
つまり、輸入が増えることは、国内の生産がその分減少すると考え、国内の総生産であるGDPにとってはマイナス要因になり、輸入先である海外の生産にとってはプラス要因となります。
逆に、輸入が減少することは、国内の生産がその分増えると考え、GDPにとってはプラス要因となります。今回のケースがこれに当てはまります。
しかし、この数値を手放しでは喜べません。
消費と設備投資がマイナスの伸びの中での輸入の減少は、国内の需要が落ちているためと考えることができます。輸入の減少幅は、リーマン・ショック直後の2009年1~3月期以来の大きな落ち込みです。輸入が減少した背景は、企業の生産活動に必要な原油や天然ガスなどの輸入が減った影響が大きいとみられています。
今回のGDPについて厳しい見方をすると、内需に勢いがなく、その結果として輸入が減少。外需は4四半期ぶりにプラスに転じたものの、米中貿易摩擦の影響や中国経済の減速によって輸出が減少している状況では、先行きに期待は持てません。米中貿易摩擦が続く限り、設備投資や、GDPのプラス要因となる在庫積み増し(今期寄与度+0.1%)に、企業は慎重にならざるを得ないため、内需低迷を長引かせることになります。