みずほ、前期約7,000億円の特別損失。前向きな損失処理と評価
みずほFGは前期(2019年3月期)、構造改革による特別損失約7,000億円を計上したため、純利益が大幅に縮小し、965億円となりました。ただし、今期(2020年3月期)純利益は4,700億円まで回復する見通しです。前期の特別損失額が大きいので、投資家に不安視されましたが、内容を見ると、将来の損失を前倒しで認識する前向きな費用計上だったと評価できます。
前期7,000億円の特別損失のうち、5,007億円は固定資産の減損です。そのほとんどが、国内商業銀行部門に属するソフトウエアの減損です。通常ならば、5年くらいかけて償却していくものを、前倒しで損失計上しました。その分、将来発生する費用が減少します。
特別損失の残りのうち1,947億円は、保有する外債などの含み損を、損失処理したものです。みずほFGは、前期末で有価証券ポートフォリオに、含み益が1兆6,518億円あります。含み損は410億円しかありません。今回の損出しでは、含み損だけ先に計上し、含み益は温存した形です。その分、将来発生する有価証券売却損が減少し、売却益が増加します。
前期、みずほFGは、7,000億円の特別損失を出しても赤字にならず、965億円の純利益が残りました。ゆとりがあったからこそ、将来発生する損失を前倒し計上が可能だったと言うこともできます。