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REITではじめる利回り投資。不動産ブーム終了リスクも考えた銘柄選び
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

REITではじめる利回り投資。不動産ブーム終了リスクも考えた銘柄選び

2017/8/30
不動産ブーム続く
ブームでも上がらない不動産株
長期投資を考えるならば、不動産株よりREITのほうが有望
ブーム終焉を意識するならば、選別投資が必要
REITの投資参考銘柄、分配金利回りと最低投資金額:8月29日時点
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今日のポイント

(1)不動産ブームが続く中、不動産株とREITの価格が下落。不動産市況にやや過熱感があることを警戒する動き。

(2)東証REITの平均分配金利回りは4.1%まで上昇。まとまった資金があれば、一等地の大型ビルに投資するオフィスREITや、物流REIT、ホテルREITなどに分散投資を考えたい。
 

不動産ブーム続く

 アベノミクスが始まった2013年以降、景気回復と異次元金融緩和の効果で、不動産需給が改善しました。今、都市部は、不動産ブームの様相を呈しています。

都心5区オフィスビルの賃料・空室率平均の推移:2013年1月―2017年7月

出所:三鬼商事、都心5区は東京都千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区

  三鬼商事の調査によると、2013年1月に8.56%であった都心5区の空室率は、2017年7月に3.22%まで低下しました。平均賃料は、2013年12月に1万6,207円/坪で底をつけてから反発し、2017年7月には1万8,582円/坪まで上昇しました。


 市況高騰を受け、大手不動産会社では、保有する賃貸不動産の含み益が拡大しています。賃貸不動産の含み益上位4社を挙げたのが、下の表です。上位3社は、大手不動産会社ですが、4位はJR東日本(電鉄会社)です。


賃貸不動産の含み益上位4社の含み益:2013年3月―2017年3月

出所:各社有価証券報告書および決算短信。賃貸不動産の含み益は、時価と取得原価の差額で、不動産の値上がりによる価値増加分

 ブームの恩恵で、大手不動産は、以下の通り、最高益更新が続いています。

大手不動産3社の連結経常利益:2016年3月期・2017年3月期実績・2018年3月期会社予想

出所:各社決算資料より作成

 

ブームでも上がらない不動産株

 不動産株は、ブームの渦中にあり、業績好調ですが、株価は下落基調にあります。不動産市況に過熱感があり、不動産ブームがピークアウトする懸念が語られ始めたことが影響しています。

 以下の「東証不動産株価指数の動き」をご覧ください。ここに、2001年以降の不動産市況の推移が表れています。

東証不動産株価指数の動き:2001年1月―2017年8月29日

注:2001年1月末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 

 2001年は不動産不況のさなかにありました。その後、不動産市況は回復に向かい、2005-07年に不動産ミニバブルと言われるブームがありました。このブームは2007年まで続きましたが、その直後、ミニバブルは崩壊しました。不動産市況も不動産株も大きく下落しました。
2013年から、不動産市況は上昇に転じ、今もブームは続いています。ところが、不動産株価指数だけは、先にピークアウトを織り込み、上値が重くなっています。


長期投資を考えるならば、不動産株よりREITのほうが有望

 不動産株の上値が重くなっていますが、REIT(リート:上場不動産投資信託)の株価は堅調です。

東証REIT指数と不動産株価指数の比較:2012年末―2017年8月29日

注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 

 アベノミクスがスタートした後の動きを比較したのが、上のグラフです。異次元金融緩和の導入を好感し、最初は、東証REIT指数、不動産株価指数ともに急騰しました。ただし、その後の値動きがまったく異なります。東証REIT指数は、高値圏で堅調な動きを続けていますが、不動産株価指数は、2015年後半から大きく下がっています。

 どちらも主に不動産に投資するものですが、利益の分配方針の違いが、パフォーマンスの差に出ました。REITは、毎期の利益をほぼすべて投資家に分配します。分配金方針のわかりやすさと、相対的に高い分配金利回りから個人投資家に人気となりました。ちなみに、現在、REITの平均分配金利回りは、約4.1%です。個人投資家には、不動産株より、REITのほうが人気があります。

 一方、不動産株は、投資家への利益還元方針が不明瞭です。大手不動産会社の配当金利回りは1%前後と低く、個人投資家の投資ニーズが高まりません。

ブーム終焉を意識するならば、選別投資が必要

 2006-07年、不動産ミニバブルといわれるブームの中、東証REIT指数は、不動産株と同じように急騰しました。利回りを無視して、不動産株を買い上がる感覚で、REITを買う投資家がいました。2008-09年に不動産ミニバブルが崩壊すると、REITは、反動で不動産株と同じように急落しました。

 投資家は、きわめて慎重になっています。REITも不動産株も、ブームの渦中にあるにもかかわらず、直近では値下がりしています。2008-09年の急落から学習し、ブームでも派手に買い上がる投資家がなくなったと考えられます。

 最近のREIT・不動産株の低迷を見ていると、不動産ブームの終焉を、すでにある程度、織り込んでいると考えられます。実際にブームが終焉しても、株価は08-09年のような急落にはならないと考えています。逆に、ブームが予想以上に長引く場合は、価格の上昇が期待できると思います。

 そうは言っても、不動産ブームが去るリスクを考えないわけにはいきません。ブームの終焉を意識するならば、投資銘柄の選別が大切になってきます。オフィスREITでは、一等地の大型ビルに投資し、長期的に安定的なリターンを出せるように計画して運営されているREITを選別すべきです。三井不動産が運営する日本ビルファンド投資法人、三菱地所が運営するジャパンリアルエステイト投資法人などが、その代表です。

 不動産はブームと不況を繰り返しています。優良物件に投資するREITを選別したら、ブーム→不況→ブームと続く不動産サイクルの、1サイクル持つつもりで投資したらいいと思います。不動産サイクルは、通常の景気循環よりはるかに長く、1サイクルに10年―20年かかることもあります。

 ある程度まとまった投資資金がある場合は、オフィスREITばかりでなく、物流REITやホテルREITなど、さまざまなREITに分散投資すべきと考えます。以下に、投資の参考銘柄を掲げます。
 

REITの投資参考銘柄、分配金利回りと最低投資金額:8月29日時点

注:楽天証券経済研究所が作成。分配金利回りは8月29日時点、今後、変更になることもある

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