時価総額で世界トップ10に名を連ねるメガテック企業、中国のテンセント。SNSで急成長したことから、テンセントを「中国のフェイスブック」と呼ぶ人もいます。しかし、テンセントを知れば知るほどフェイスブックとの違いが際立ってきます。

目的としてのSNSか、手段としてのSNSか

 フェイスブックもテンセントも、誰もが簡単かつ無料で利用できるSNSサービスを提供しています。では、両社の違いは何か。それは、事業展開する上でSNSをどのように位置付けているかを理解することによって見えてきます。

 フェイスブックは、SNSで強固なコミュニティ基盤を築くという目的に特化して、広告で稼ぐというビジネスを展開しています。対して、テンセントは、SNSを起点にしながらも、ゲームや動画・音楽などのデジタルコンテンツ、決済などの金融サービス、AIによる医療や自動運転、クラウドコンピューティング、オンラインとオフラインを融合させるOMO(Online Merges Offline)店舗、広告など、その事業領域は多岐にわたっています。テンセントは、SNS事業を「テクノロジーの総合百貨店」になる手段として位置付けているのです。


テンセントは「コミュニケーション・プラットフォーム」の会社

出所:テンセント2018年第3四半期結果プレゼンテーション(2018年11月14日付)を元に筆者作成