長過ぎた10連休も終わり、心機一転スタートした令和相場。でしたが、出足早々“タリフマン(関税男)復活”に翻弄された1週間に。米中協議の順調な進展を前提にしてきた市場参加者は、突然のトランプ米大統領の態度豹変にひたすら困惑することになりました。

「トランプのいつもの交渉術だから」とタカを括れていたのも6日まで。令和相場初日の7日、東京市場が始まる前に、米中交渉のキーマンであるライトハイザーUSTR(米国通商代表部)代表が「(9日から行う協議の結果を見て)10日午前0時1分(日本時間で13時1分)に追加関税を実施する」と発言したことで、「ブラフじゃないじゃん・・・」に。

 9日から行われた閣僚級会議で折り合わず、無念の時間切れ。淡い期待も空しく、(まだ協議は続けるようですが)10日の予告時間に、中国からの輸入品2,000億ドル相当に対する関税率引き上げが発動しました。令和第1週の日経平均株価は、開幕4連敗。10連休前に2万2,258円だった日経平均株価は、週間913円安(4.1%安)の2万1,344円で終えています。

追加関税25%だと中国のGDP成長率は、5.5%に!?

 関税が上がると、米国に輸出される中国製品の価格競争力が低下します。その分と、設備投資、国内消費への影響分をひっくるめ、中国の成長率は確実に押し下げられます。2,000億ドル製品に25%追加関税が適用されると、GDP成長率に「0.9%のマイナス影響」とIMF(国際通貨基金)は試算しています。

 直近の中国GDP成長率は1-3月期の6.4%ですので、これが5.5%に低下する恐れもあるという話。そうなると、リーマンショック後の2009年1-3月期の6.2%も下回るという非常事態。「これ、ヤバイんじゃないの?」と市場参加者が考えるのも当然です。