「株は5月に手仕舞え」が現実化する可能性は

 上述のとおり、今秋は米国株反落→為替のドル安・円高→日本株安となっています。 4月26日付け本レポート「Sell in Mayの不安?アノマリーは繰り返されるか」で警戒した米国の相場格言「Sell in May and go away」(株は5月に手仕舞え)が現実化する可能性があります。

 図表2は、米国株式(ダウ平均)、日本株式(日経平均)、為替相場(ドル円)の過去20年(1999年~2018年)の年間推移について平均化したものです。「米国株式もドル円相場も5月前後に年前半の高値をつける季節性がある」、「米国株安と円高(ドル安)が日本株式を軟調に追い込んだ」との傾向がみられます。米中貿易交渉の行方がメインシナリオと異なる「(交渉が)難航する。決裂する」とのリスクシナリオに転換した今週、高値圏の米国株に利益確定売りは先行しやすく、株安がもたらすリスク回避の円買いでドル安・円高も進みやすくなりました。

 昨年の2月と年末の日本株の波乱相場でも、米国を発端とする外部環境悪化で日本市場も株安に直面しました。外国人投資家のリスク許容度が低下すると、先物売り主導で現物株売りが嵩み、日経平均は軟調を余儀なくされます。

 4月に日経平均が2万2千円台を回復した背景として、米中貿易交渉の進展期待、米国と中国の株高、ドル円の堅調、米・中の景況感改善、業績見通し底入れ期待と言うポジティブな連想がありました。こうした期待に水を差すリスクが顕在化し、業績に与える影響不安が長期化する事態となれば、図表2が示す季節的な株価調整が目先も続く可能性を否定できません。

図表2:アノマリーに沿った株式売りか

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1999/1/1~2018/12/31)