今週はレポートもゴールデンウイーク進行ということで、筆者がインスパイアされた投資関連書籍を紹介したい。世界一簡単なアルゴリズムトレードの構築方法 あなたに合った戦略を見つけるために(ウィザードブックシリーズ)著者:ペリー・J.カウフマン

 

 この本はペリー・カウフマンが著した“A Guide to Creating A Successful Algorithmic Trading Strategy”というベストセラーの邦訳である。この本はタイトル通り、世界一簡単なアルゴリズム取引の入門書だ。

 簡単だが、どうやって、運用をデザインすればいいかという本質的なことがたくさん書いてある。

 数式がほとんど出てこないので、数学がわからなくても理解できる内容となっている。

ポジションサイズの計算方法では、

株式トレーダーの場合、まず全投資額をあなたがトレードする銘柄数で割る。

ポジションのサイズを計算するには、たとえば投資額が1,000万円で、トレードする銘柄数が10であれば、それぞれの投資額は100万円になる。(1,000万円÷10=100万円)

そして、100万円をその株価で割るとポジションサイズが算出できる。

といった具合だ。

 先物の取引では、20日ATR(アベレージトゥルーレンジ)を使ったポジションサイズの決め方を紹介している。エクセルでの具体的な計算方法も書いてあり、本当にわかりやすい。

 売買手法が良いか悪いかを判断するのに、カウフマンはインフォメーションレシオという指標を使っている。

シャープレシオは、

シャープレシオ=(年次リターンー無リスクリターン)÷年次リスク

だが、この計算式から無リスクリーターンを除き、年次リスクを年次リターンで割ったものがインフォメーションレシオである。


ドル/円(日足)とペリー・J.カウフマンのインディケーター

出所:Galactic Trader

 カウフマンは述べている。

「政府はいつでも、パーティーには遅れてやってくる。彼らが起こった問題に対処しなければ、同じことが再び起こる可能性がある。一方、彼らは安全を過信し、大きな危機がふたたび発生することはないと思ってします。もちろんそんなことはない。次の危機はまったく違った形で起こり、同じ規模で発生する可能性があるのである。同じように、1つのイベントのリスクをなくし、それによって将来的なリスクを避けることはできない。それでは解決にならない。重要なのは真のリスクを理解し、きちんと管理することである。リスクが大きすぎるのであれば、ポジションを小さくせよ。」

 今のマーケットに対する警鐘に聞こえる。リスクは死なない。いつも生きているのである。相場は防御だ。

「多くの著者が曖昧にするような点を、カウフマンは非常に分かりやすく説明している。トレードを成功に導くための重要な要素に焦点を当てた本書は、アルゴリズムトレードを始めたばかりのトレーダーにとっても、経験のあるトレーダーにとっても、必携書であろう。勝率を高め、詳細に注意を払い、メカニズムを複雑にしすぎるな……。カウフマンのガイドラインに従えば、成功すること請け合いだ。ありがとう、ペリー」――スタンリー・ダッシュ(公認テクニカルアナリスト、TradeStationのApplied Technical Analysisのバイスプレジデント)

「私はカウフマンを25年前から知っているが、彼と話をしたことはなく、著書を読んだこともないが、彼からは何か価値のあるものを感じる。本書も例外ではない。本書はコンパクトながらも、『有言実行』の人物からの、そしてアルゴリズムトレードの必要性を説く人物からの実用的な情報が詰まった本だ。まずはここから始めてみてはどうだろうか」――ロバート・パルド(パルド・キャピタルの社長、『トレーディングシステムの開発と検証と最適化』『アルゴリズムトレーディング入門』[いずれもパンローリング]の著者)