金利据え置きで米国株式バブル発生の可能性も

 私はいつも「リセッションを伴わない株価の下落は買い」と申し上げています。この機会が訪れる典型的なパターンは海外要因です。

 1997~1998年のアジア危機、ロシア危機がそうでしたし、前述のような2015~2016年の中国経済減速もそうでした。2015~2016年はFRBが金利を据え置いていただけなのでまだマシですが、1997~1998年はFRBが金利を下げたために、その後、株式相場は吹き上がる結果となりました。

 今年に入ってFRBは当面金利を据え置く方針を示しましたが、私はむしろ、FRBがまた海外要因にだまされて、バブルが発生してしまわないかの方が心配です。海外経済が不振なわけですから海外の株式に魅力はないし、相変わらず日本やドイツ、スイスの国債はマイナス金利でも買われるという超バブル状態ですから、世界の多くの投資家にとって、比較的景気が良いのにFRBが金利を据え置く中で、米国の株式は魅力的な投資対象に映るはずです。そのため、今後世界の超債券バブルが米国株式バブルに移行していく可能性は想定しておくべきだと考えています。

 自動車、航空、住宅建設、金融など、米国経済がリセッションに陥れば打撃を受けると見られるセクターが、軒並み5~10倍の低PER(株価収益率)という、あたかもリセッション真っ只中にいるようなバリュエーションで取引されています。市場のリセッション予想は既に「懸念」でなく「期待」になっていると言っても過言ではないでしょう。

 ここまで来てしまえばむしろ、リセッション期待が裏切られるリスクの方が大きいと考えるべきです。米国経済は変わらなくても、市場がしばらくリセッションはこないと認識し、バリュエーションが正常化するだけで大きな上昇率となるだろうからです。

(2019年4月24日記)

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