世界景気・貿易戦争に対する不安が緩和

 日経平均は、2万2,000円台を回復しました。2018年に日経平均は、2万1,000円から2万4,000円までのボックス相場で推移していましたが、そのボックス圏の中心に戻ってきました。

日経平均週足:2018年1月4日~2019年4月19日

注:楽天証券経済研究所が作成

 私は、外国人投資家が日本株を見る目が変わってきていると考えています。昨年後半、外国人は日本株の組み入れ引き下げを急いでいました。外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。中国景気および世界景気に不安が出てきたことを受け、昨年8月~今年3月、外国人は日本株を大量に売り越しました。

 ところが、足元、中国景気にやや回復の兆しが見られます。2020年にかけて、世界景気が持ち直す期待につながっています。こうした環境変化を受けて、外国人投資家は、中国株、米国株に次いで、日本株も少し買い戻し始めていると、考えられます。

 ここで、日経平均のチャートを再掲します。今度は、日経平均の上値を抑えてきた要因を、チャートの中に書き込んでいます。

日経平均週足:2018年1月4日~2019年4月12日

注:楽天証券経済研究所が作成

 2018年は、「世界まるごと好景気」の状態から始まりました。景気・企業業績が好調であることが、日経平均および世界の株価にとって強材料となっていました。一方、米金利上昇と、貿易戦争が激化する不安が、世界的に株の上値を抑えていました。  

 2018年1~3月は、米長期金利が3%に近づいたことを嫌気して、NYダウが急落。ツレて世界的に株が下がりました。貿易戦争激化の不安がそれに追い打ちをかけました。

 2018年4~9月は、2つの不安が緩和する中で、世界的に株が上昇しました。

 ところが、10月から、再び世界的に株が下がり、日経平均も急落。この時も、米長期金利の上昇が株売りのきっかけとなりました。さらに12月に、日経平均は一段安となりました。長期金利は低下し、金利上昇の不安は低下しましたが、代わって「世界景気悪化」の不安が、クローズアップされました。貿易戦争はさらにエスカレートし、米中のハイテク覇権争いにまで発展していました。

 2019年に入ってからは、米国はじめ世界の中央銀行がハト派に転じた効果で、世界的に株が反発しました。さらに、米中通商協議が何らかの「落としどころ」に向かう期待も出ています。足元、中国景気にやや回復の兆しもあることから、世界景気への不安も緩和しつつあります。