転職者は退職金の受け取りで「大きなチャンス」と「ひとつの弱み」がある
この春、いい条件の求人に巡り会い転職をされた人もいることでしょう。まずはチャンスを掴まれたことをお祝い申し上げます。転職は自分の評価を高めるために、自分でつかみとる「チャレンジ」です。あなたが行動を起こしたことは何より素晴らしいことです。今の会社より年収が上がるのであれば、ぜひ新しい仕事を続けてみてください。
新しい会社での最初の数カ月は、好奇の目にさらされます。色々な社内のローカルルールにも慣れなければならず、ストレスを抱え込むこともあるでしょう。慣れるまでは、早めに帰宅して気分転換や、散歩に出てお昼休みにひとりの時間を作るなど、うまく乗り切ってください。じきに慣れるので大丈夫です。
さて、転職は年収を増やす大きなチャンスですが、一方でウイークポイントがあります。それは「退職金・企業年金」です。今回は「転職と退職金」の話をしてみましょう。
転職者がどんなに年収を増やしても、退職金だけは退職のたびに細切れで精算されることになります。退職金はセカンドライフのための大きな財産ですが、現金で受け取ると老後に残らないことになります。
退職一時金はどこにも通算できない
制度別に確認していきましょう。まず「退職一時金制度」です。これは企業年金の枠組みを用いていないという意味で、現金で受け取るしか選択肢がないものを指します。中小企業の場合、中小企業退職金共済制度(中退共)から支払われることもあります。
退職一時金については、老後までいずれかの制度へ引き継ぎ通算する選択肢はありません。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に資産を引き継げると便利ですが、今のところ法律の仕組みがないからです。
そうすると、退職一時金を受け取った後は、そのお金を使わないことが大切です。できればNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の口座に入金する、個人向け国債(変動10年など)を購入するなど、中途解約しにくい状況にしておくといいでしょう。
どうしても使わざるをえなかった場合は、その分をその後のキャリアアップ分から捻出し証券口座などに積み上げるようにしてください。勤続期間が短いので受取額が減り、定年退職時に「同僚より少ない」と焦ることになります。