あなたの会社がもし確定拠出年金だったら「加入」を
会社の退職金制度として考えると「加入しない」のもおかしな気がしますが、確定拠出年金制度は加入が強制される場合と、選択制になっている場合があります。もし加入しない場合は毎月の掛金(会社が負担する分)について現金払いで給与や賞与に上乗せして精算給付されます。
これだけ聞くと「給料も増えるのでは?」と思いますが、実際には所得税・住民税、社会保険料などが引かれるため、手取りは70~80%くらいにダウンします。確定拠出年金に加入すれば、そうした引き算はなしに全額が口座に入金されます。
「現金でもらって、好きなところで運用をしよう」と思っても、運用利回り的には「スタート時点でマイナス20~30%」になってしまうというわけです。あなたの老後の資産形成を考えても「加入する」を選択するとより安心でしょう。
運用商品選びで悩むならバランス型ファンド(株式投資比率が高いもの)を1点買えば十分
投資教育をした場合でも、新卒社会人が「なるほど、私は分散投資をこのようなポートフォリオで組みますね」とシミュレーションを行いながら、1%刻みで調整できるリテラシーのレベルになれるわけではありません。
講師は「長期投資で考えよう」、「分散投資を行いましょう」といった基本的な説明はできますが相場観などを述べることは許されておらず(法律上禁止されている)、アセットクラスごとの期待リターンやリスク、相関係数を、数値で提供することもあまりできないからです(簡単なYes-No式のチャートで5パターンくらいの分散例示をすることが多い)。また、講師は「この○○投資信託がいいですよ。△△投資信託はダメ」と具体的な銘柄について言及できません(これも法律上禁止されています)。
これは金融機関の職員が講師となった場合、我田引水(がでんいんすい)の講義とならない様な「よい規制」でもある一方で、受講者側にとっては「で、どうすればいいの?」と最後にモヤモヤ終わってしまう欠点もあります。そこで、会社や金融機関の講師が言えないところをズバリ言いましょう。
1)投資商品の一覧表を探し「バランス型ファンド」をみつける
2)複数本あるならインデックス運用のタイプであること、信託報酬(運用管理費用)が安いほうを選ぶ
3)一般には「××バランス型ファンド(株式投資比率25、50、75)」とか「□□バランス型ファンド(安定型、安定成長型、成長型)」のように3種類が並んでいるが、一番株式投資比率が高いものを選ぶ
4)毎月の掛金の運用指図はそのバランス型ファンド「100%」と書く
です。
新入社員が、いきなり「外国株」「外国株」「国内債券」「外国債券」のインデックスファンドを4本選択し、かつ資産配分割合を検討することは現実的ではありません。また定期的なメンテナンスも実行困難でしょう。であれば、バランス型ファンドを1本だけ購入し、定期的なリバランス(リスク資産の値上がり値下がりに応じてリスクを調整するしくみ)はバランス型ファンドの運用方針にお任せしたほうがよいでしょうし、バランス型ファンドで国内外に分散投資を行うことをおすすめします。
ただし債券比率があまりにも高いバランス型ファンドを持つと、本人はリスクを取ったつもりが株価上昇時にはあまり利回りが得られないので、株式投資比率は一番高いものを選ぶといいでしょう。
こういう本音ベースのアドバイスは絶対に会社の人も金融機関の講師も言えませんから、参考にしてみてください(会社の先輩も金融機関の講師も、あなたの運用結果を保証できないので、言えないのは仕方がない。もちろん私も結果は保証しませんので、自己責任で最終決断をしてください)。