今後、投資してみたい金融商品・今後、投資してみたい国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 毎月実施している設問「今後、投資してみたい国(地域)」で、先月に続いて“日本”と“アメリカ”と回答したお客様の割合の“差”に注目しました。

図:設問「今後、投資してみたい国(地域)」で“日本”と“アメリカ”と回答したお客様の割合の差 ​

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 この日米の差は、3月の調査で統計史上最大となる-12.1%となりました。その要因は、アメリカを今後投資してみたい国と思う人の割合が増加し、逆に、日本を今後投資してみたい国と思う人の割合が減少したことでした。

 2019年2月の調査までは、日本・アメリカともに、今後投資してみたい国と思う人の割合は、ほぼ並行に動いていました。片方が増加する時、もう片方も増加する(逆もしかり)という傾向があり、この頃の日米の差は、投資してみたいと思う“度合の差”だったと言えます。

 しかし、今回の3月の調査は、並行に動いたのではなく、片方が増加、もう片方が減少という正反対の動きによるものでした。このため、日米の差が統計史上最大となるマイナスになったわけです。

 3月は、“日本を選ばない、アメリカを選ぶ”という傾向が強まったと言えますが、その背景の一つとして、“株価の下落の度合”が挙げられると筆者は考えています。

 3月の調査は3月25日(月)から27日(水)まで行われました。この期間の前後における日米の主要な株価指数の変化を見てみると、日本の方が米国よりも下落率が高いことがわかります。具体的には、3月20日(水)と3月27日(水)を比べると、日経平均がマイナス1.07%、NYダウがマイナス0.47%でした。

 アンケート実施期間前後において、日経平均の下落率がNYダウの2倍になる過程にあった、ということが、多くの回答者が日本よりも米国を今後投資してみたい国・地域に選んだきっかけの一つになったと考えられます。

 アンケートの結果は、アンケート実施期間前後の株価を含む諸情勢を映す傾向があると言え、その意味では、4月下旬の次回のアンケート実施期間前後に起きていることが、次回の結果に反映されるとみられます。

 次回のアンケート実施期間(4月22日~24日 予定)は、最大10連休、新元号のスタート、天皇の即位など大イベントである2019年のゴールデンウィーク直前です。社会全体として、比較的、荒れた状況を避けるムードが強まりやすい時期にあっては、株式市場でも3月下旬のような厳しい環境を避けるムードが強まる可能性があります。

 このような動きが強まれば、今回のような極端な日米差のマイナスは解消するとみられます。次回のアンケート結果でも、「今後投資してみたい国(地域)」における“日本”“アメリカ”それぞれと、その“差”に注目していきたいと思います。

 

表:今後、投資してみたい金融商品 2019年3月調査時点 (複数回答可)​

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2019年3月調査時点 (複数回答可)​

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

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