米国の債務上限引き上げの問題

 財政赤字が続く米国では、定期的に米国債の発行上限を引き上げないと、財政をまかなえません。それには、議会の承認が必要です。

 ところが、政府与党の力が弱いと、議会が債務上限の引き上げをすんなり認めない可能性があります。債務上限の引き上げ期限が近づいても、議会の承認がおりない場合は、米国債の償還財源がなくなるリスクが騒がれます。また予算が枯渇して、一時的に政府機関が閉鎖になることもあります。

 昨年11月の中間選挙で、トランプ大統領の共和党は、下院で過半数を失いました。上院では共和党が過半数を維持しましたが、下院で野党・民主党が支配する「ねじれ議会」となったわけです。この状態で、次の債務上限引き上げ期限が近づくと、いつもの見慣れた光景ですが、上限引き上げが議会ですんなり通らず、不安が高まるリスクがあります。

 折しも今、FRB(米連邦準備制度理事会)は、急速にハト派転換し、ドル金利が低下し、ドル安(円高)が進むリスクが出ているところです。ここに、米債務問題が重なると、さらに円高が進むリスクがあります。