日本と世界にもっとも大きく影響する、米中貿易・ハイテク戦争の行方

 私は、米中の覇権争いは、20世紀の米ソ冷戦に匹敵する長い対立になると考えています。それでも目先は、米中ともにいったん何らかの手打ちを探る展開になると予想しています。世界的に景気が悪化してきたことが、いったん休戦し、対立を緩和させる方向に働くと思います。

 米中貿易戦争・ハイテク戦争の影響を受けて、足元、急速に世界景気が悪化してきました。そのため、米国ではトランプ米大統領に対する批判が再燃する気配もあります。また中国でも、習近平国家主席への批判が高まるリスクもあります。こうした環境変化を受けて、トランプ大統領、習近平国家主席ともに、いったん貿易戦争でなんらかの合意を目指すと思います。

 米中貿易戦争・ハイテク戦争の余波で、中国では設備投資に急ブレーキがかかっていますが、米中がいったん休戦となれば、再び、設備投資が盛り返すと思います。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)、ロボット、5G(第5世代移動体通信)などへの投資が2020年にかけて復活すると予想しています。

 米中交渉が実際にどうなるか、今後しっかり行方を見つめていく必要があります。