急落した日本株が「買い場」と判断する理由

 世界景気への不安から、25日の日経平均は前週末比650円下落して、20,977円となりました。本欄で繰り返しお伝えしているように、私は、日本株は割安で長期投資で買い場を迎えていると判断しています。世界景気は2019年に悪化し、2020年に回復すると予想しているからです。株は、景気循環よりも半年~1年先に動くので、今が2019年の景気悪化を織り込む最終局面と判断しています。

 ただし、それには、重要な前提条件が1つあります。米中貿易戦争が数か月以内にいったん、一定の「落としどころ」に落ち着くという前提です。

 他にも、世界中にいろいろなリスク材料があります。米国の債務問題も近々、話題になるかもしれません。膨張する米国債の発行上限引き上げを議会がすんなり認めないと、「ドル不安」が再燃する懸念があります。

 また、英国にリスク材料があります。確率は低いと考えていますが、英国がEU(欧州連合)から「合意なき離脱」をすると、英国および欧州の経済に大きなダメージを及ぼします。そこで、今日は、世界に広がる政治不安の行方について、コメントします。

世界の政治不安を俯瞰

政治不安のネタは尽きない

 上記は、世界の政治不安の中で、日本株に影響のありそうなものを、ざっと俯瞰したものです。3つに色分けしています。政治不安の根底にあるものの違いから、色分けしました。

 まず、中国、北朝鮮、ロシアの問題。ひと言で言うと、「独裁のリスク」と言えると思います。社会主義国では、原則として、国が絶大な権力を有します。権力が中央政府に集中し、独裁的な指導者が暴走するリスクと隣り合わせです。

 次に、米国、欧州、日本の問題。こちらは、民主主義国に共通の不安を抱えています。「ポピュリズム(大衆迎合主義)が蔓延するリスク」です。自国経済に悪影響を及ぼすことがわかっていても、ポピュリズムの波に飲まれて、経済的に非合理な政策が選択されるリスクが高まっています。近年は、米国・欧州で、反グローバル・反資本主義の政策が選択され、グローバル経済・株式市場に悪影響を及ぼすリスクが出ているのです。

 中東の地政学リスクは、性格が異なるので、別の分類としました。