半導体スーパーサイクル説は、半分正しく、半分誤り
4~5年周期で好不況を繰り返してきた半導体業界ですが、半導体の用途が、PC・スマホ・データセンターだけでなく、自動車・家電製品・ロボット・IoT機器(「モノのインターネット化」関連機器)に広がる中で、一時は、「半導体スーパーサイクルが始まった」との声もありました。
それは、半分正しく、半分誤りであると考えています。市況変動が激しい、半導体メモリ(フラッシュメモリやDRAM)は、これからも供給不足と供給過剰を繰り返すと考えられます。つまり、半導体メモリだけについて言えば、スーパーサイクル説は誤りということになります。
ただし、半導体メモリは、半導体市場全体の一部(約3分の1)に過ぎません。半導体には、メモリの他にも、マイクロ、ロジック、アナログ、ディスクリート、光半導体、センサーなど、さまざまな種類があります。メモリ以外の半導体は、ここから安定的に成長すると考えられます。たとえば、個別オーダーメードとなる自動車用の半導体は、極端なブームにも不況にもなることなく、安定成長が続くと予想しています。メモリ以外に注目すれば、半導体市場全体ではスーパーサイクルが始まっていると言っていいと、考えています。
半導体関連株の値動きは今後2極化へ、何に投資したら良いか
半導体関連株の投資判断が難しいのは、株価が、半導体サイクルを半年~1年先取りして動くからです。ブームの真っ盛りに株価は急落し始め、半導体不況の中で株価は急反発を始めてきました。
私は、先に述べたとおり、今回の半導体不況は浅く、短期に終わると思っています。2020年に半導体ブームが復活すると仮定すると、今が半導体関連株の買い場と考えています。ただし、半導体関連株ならば何を買ってもいいというわけではありません。特定分野で競争力があり、需要が安定して拡大していくと期待される分野に投資した方が良いと思います。
私は、今後、半導体関連株の値動きは、徐々に二極化すると見ています。半導体メモリが供給過剰になっているので、メモリの比重が高い半導体製造装置の上値は重いと考えます。
ただし、メモリ以外の半導体ビジネスは、スーパーサイクルに入った可能性があります。半導体材料(シリコンウエハ)で最先端の技術力を持ち世界第1位の信越化学(4063)、同2位のSUMCO(3436)や、自動車用の半導体で世界第3位のルネサスエレクトロニクス(6723)は、スーパーサイクルの恩恵で安定的に収益を稼いでいけると予想しています。
一方、メモリへの依存度が高い日本の半導体製造装置株は、要注意です。高水準の受注残を抱えているので、すぐに業績が悪化することはありませんが、ブームが去った後は、業績が急速に悪化する可能性があります。具体的には、東京エレクトロン(8035)やSCREEN HD(7735)には積極的には投資したくないと考えています。
半導体製造装置では、アドバンテスト(6857)が有望と考えています。メモリテスターではなく、SOCテスターの需要拡大が期待されるからです。来期(2020年3月期)は減収減益となる可能性がありますが、その先の増益を考えて、投資していって良いと考えています。