本日の注目通貨
ドル/円:次の標的は111円
12日のドル/円は引き続き堅調で、東京時間に110.65円まで今年の高値を更新。休憩が入り110.34円まで下押しも、110円台はしっかりキープしています。
ドル高/円安の動きは、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ中止を悲観してつくられたドル売りポジションの解消。という面もありますが、同時に米長期金利の強さを見てキャリートレード取引(※文末に説明)が復活し始めたこともあります。
パウエルFRB議長はこの日講演を行い、米経済は「力強い」と前向きな発言をしました。一部には年内利下げ論が出るなど、悲観に傾きすぎていたマーケットに修正が入りました。
米政府機関の再閉鎖回避の動きや、米中貿易協議に対する期待もドルをサポートしています。トランプ大統領は、3月1日の対中関税引き上げの期限を延長してもいいと態度を軟化。これまでの圧力一辺倒から貿易協議の決着へと向きを変えたことが株式市場に好感され、リスクオンそしてドル高へとつながっています。しかし、この調子で米朝首脳会談も譲歩ばかりだと日本は困ったことになります。
ドル/円の次のターゲットは111円、そして昨年12月31日の高値111.48円になります。このレベルでは戦線を後退させたドル売り派が再攻撃を仕掛けることも考えられるので注意が必要。反対に109.50円より下に下がってしまうと、ドル高ムードが一気にしらけるかもしれません。
豪ドル/円:底値固めるか
12日の豪ドル/円は、東京時間朝に77.89円まで下げましたが、NY時間までに78.48円まで反発しました。豪ドルは、世界景気減速や国内経済の悪化を理由に下落が続いていましが、対ドルでは0.7050ドル、そして対円では77.50円前後でいったん下げ止まり、ベースを形成しているように見えます。
RBA(オーストラリア準備銀行)の年内「利下げ」という悪材料まですでに織り込まれているため、さらに豪ドルが下げ続けるにはよっぽどの材料が必要と思われます。たとえば米中貿易協議の決裂などですが、こちらは決着方向に進んでいるわけで、豪の主要輸出品の鉄鋼石の価格も上昇。キャリートレードが本格的に再開するならば豪ドル/円が注目されそうです。