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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。2018年12月の『街角景気』は、暖冬や世界的な株価調整の影響等から、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)、景気の先行きを示す先行き判断DIともに、景気判断の節目となる“50”を割り込みました。

 

【ポイント1】現状判断DIは前月比▲3.0ポイントと3カ月ぶりに悪化

先行き判断DIは5カ月ぶりに、景気判断の節目となる“50”を割り込む

 2018年12月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比▲3.0ポイントの48.0でした。景況感の悪化は9月以来3カ月ぶりであり、水準も2カ月ぶりに景気判断の節目となる“50”を下回りました。

 項目別では、家計動向DI、企業動向DI、雇用DIのいずれも低下しました。家計動向関連では、住宅関連の落ち込みが大きかったほか、忘年会シーズンにもかかわらず飲食関連の悪化が目立ちました。

 先行き判断DIは48.5でした。前月から▲3.7ポイントと、やや大きく低下し、5カ月ぶりに“50” を割り込みました。項目別にみると、現状判断と同様に、家計動向、企業動向、雇用の3項目が揃って悪化しています。

 

【ポイント2】景気にネガティブな単語の使用頻度が増加

「暖冬」、「消費税」、「株安」といった単語が目立つ

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントからは、ネガティブな単語の使用比率が大きく上昇しました。一方で、ポジティブな単語の使用比率は減少しており、ウォッチャーの景気スタンスの悪化が窺われます。

 12月は「暖冬」、「消費税」、「株価・株安」、「苦戦」といった単語の使用頻度が増えたことが特徴です。世界的な株価の調整が心理的な重石となった面もあったと考えられますが、「暖冬」による冬物衣料を中心とした季節商材の販売不振が小売関連業種の景況感を押し下げたほか、「消費税」増税や「株安」が実際の家計や企業の行動の変化を通じてウォッチャーの景況感を悪化させた可能性も否めません。こうしてみると、必ずしも一過性の動きと楽観視できないようです。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】引き続き米中通商協議や、株価の動向などを注視する必要

 内閣府は景気ウォッチャー調査の基調判断を、「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」とし、前月の「緩やかに回復している」から引き下げました。先行きについても、「海外情勢や金融資本市場の動向に対する懸念がみられる」とまとめています。米中通商協議の行方や、それらが世界の株式市場に及ぼす影響等には、引き続き注視していく必要があると考えられます。