本日の注目通貨

ドル/円:FRB利上げ中止へ、場合によっては利下げも?

 9日水曜日、東京時間のドル/円は米中貿易協議の進展期待で109円まで上げるなどドル買いが優勢。しかし、米連銀総裁の発言をきっかけに、一転ドル売りの勢いが強まることになりました。(チャート1)

 ローゼングレン・ボストン連銀総裁「やや緩和的な今の状況に満足している。利上げする必要性はない」、ボスティック・アトランタ連銀総裁「次の動きは、利上げ、利下げの両方の可能性がある」などと、相次いで今後の利上げに慎重な意見を述べたことが理由。特にローゼングレン連銀総裁はこれまで利上げを支持するタカ派だったために、立場の変更が注目されました。

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長に続き、連銀総裁の発言は、マーケットに対して次の利上げ時期が未定であることを知らせるフォワードガイダンスと考えることができます。

 10日早朝4時(日本時間)にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表。12月の会合でFOMCは利上げを実施しましたが、議事録の内容は「数人のメンバーが金利据え置きを支持した」と示すなど総体的に弱気。これを受けてドル/円はさらに下落、一時107.98円まで下げて安値をつけました。

 ただ、今週のパウエルFRB議長の発言からFOMC議事録の内容はある程度予想されていたので、それ以上の下げにはつながらず、その後は再び108円に復帰してこの日を終了。

 

ユーロ/ドル:堅調、1.15ドル台へ。今夜のECB議事録に注意

 米連銀総裁の利上げ慎重発言で勢いをつけたドル売りの流れに乗ってユーロ/ドルは大きく上昇。FOMC議事録公表時にそれまでの抵抗ラインだった1.15ドルを上に抜け、1.1558ドルまで上値を伸ばしました。次のターゲットは、2018年10月16日の1.1620ドル。(チャート2)

 今夜は12月ECB(欧州中央銀行)理事会の議事録が公表されます。ECBはこの時の会合で政策金利を0.00%に据え置き。ドラギ総裁がその後記者会見を開きましたが、以前のような楽観ムードはなくなり、かなり弱気になっていました。

 ドラギ総裁は「経済の下向きリスクが強まっている」との見解を示しました。ECBはユーロ圏の成長見通しとインフレ見通しを引き下げましたが、深刻なのは、ECBがこの状況が一時的なものではないと考えていることです。ECBの懸命な緩和政策が思ったほどの効果を上げられず、ユーロ圏経済再び減速していることをドラギ総裁が認めたことになります。

 1.15ドル台までの動きはユーロ買いというよりドル売りの結果。今夜はユーロの実力が試されます。思ったより欧州経済は弱いということになれば、ユーロ売りに転換することもありえます。