厄介なオマケのオマケ!
先生:もうひとつ、オマケがあるの。
しんた:まだあるんですか!
先生:しんた君、リーマンショックの引き金が「サブプライムローン」って言ってたね。(16話)
しんた:はい。
先生:確かに、サブプライムローンなんだけど、より一層混乱を深めた原因は、「サブプライムローンを含んだファンドや証券化商品」だったのよ。詳しい説明は省略するけど、当然、サブプライムローンそのものよりも参加者は少ないから、値段の上下ももっと激しい可能性が高い。
ひな:それが売りに拍車をかけた、ってことですね。
先生:それで溝が深くなったんだけどね。
しんた:まさか……。今回のバンクローンも同じ、ってことですか?
先生:そのとおり。大量のファンドと大量の証券化商品が出回っているわ。しかも、日本の銀行をはじめとする機関投資家が大量に買っているみたい。
それにね、サブプライムローンって、「信用力の低い個人向け住宅ローン」だったでしょ。バンクローンやハイイールド社債って、「信用力の低い中小企業向けローン」なの。どちらも、金融マーケットの中心である、米国の資産よね。しかも、「信用力が低い」。
しんた:! 先生、以前、僕たちは、機関投資家(銀行や生命保険会社など)の動きを議論したことがあるんです。(第11話)
先生:今回、下げが続いたときに、2月か3月にちょっとした投資チャンスが来るかもしれないって話ね。
しんた:そうそう。
先生:しんた君、アノ話(第11話:機関投資家の決算期に注目)を聞いたときに思ったんだけど、今年の日経平均、チェックしてみた?
しんた:まだです。
先生:これを見て。
日経平均株価終値(日次) 2017/12/25~2018/12/25
しんた:!!!!! 先生、2月の急落を受けて、3月23日に安値2万617円をつけて、10月2日の2万4,270円まで上がってます!
先生:そうね。安値は無理でも、2万2,000円以下で買うことは十分に可能だし、高値で売らなくても、5%から10%くらいで利益確定はできそうね。
ひな:機関投資家の法則、今年も当たってたんだ!
先生:おさらいと言う意味では、第16話のJ-REIT(ジェイ・リート:国内の上場不動産投資信託)もそうよ。しんた君のお父さん、「J-REITは1,600ポイントと1,800ポイントの間にいる期間が長いから、1,800ポイントを超えると、利益確定の売りに押される可能性がある。」って言ってたわね。
しんた:はい。
ひな:まさか、先生。
先生:まさかよ、ひなちゃん。これ見て。
東証J-REIT指数(日次) 2016/12/22~2018/12/25
しんた:1,800ポイントで押されてます!
ひな:ひょえー。
今後はどうなる?
先生:今後の見通しに移りましょうか。
しんた:はい。
先生:まずは、足元で確認された内容は、来年も継続するのか?
- トランプ政権不安:継続しそう
- 米中貿易摩擦:継続しそう
- 金利上昇→景気後退不安:今のところ、金利上昇は一服。今後は不明
- 株→債券の資金シフト:今後は不明
- 原油価格:足元で下げ継続中
- バンクローン:足元で下げ継続中
- ハイイールド社債:足元で下げ継続中
あとは、アメリカの減税効果は来年なくなるので、企業収益は大きな期待はできない。ただし、米国政府が新たな減税やそれに代わる政策をやれば別だけど。
しんた:先生! ネガティブな面ばかりですが、ポジティブなものはないんでしょうか?
先生:うーん。あまりない、かな。そもそも、アベノミクスと時を同じくして、FRB(米連邦準備制度理事会)も欧州のECB(欧州中央銀行)も、日本の日本銀行と同じく、量的緩和をやったから、いろいろな資産の価格が上がってしまって、「割安」な資産が少ない状態なはず。だから、ここから大きな上昇が望める資産、ってよほど運がよくないと見つからないような気がする。
ひな:でも、よく聞く「下げたあとで反発」、っていうのはありますよね?
先生:欧米では、12月末が年度末だから、大きい投資家も含めて、1月から新年度になるの。だから、投資方針も1月から変更になるケースが多いんだよ。下がった資産が「割安」だと判断すれば、買ってくる可能性はあるわ。でもね、仮に、「下げた後で反発」があるとして、私たちが下がったところで上手に買えて、上がったところで上手に売れると思う?
しんた:うーん、僕たちでは難しいですね。
先生:私なら来年の2月末から3月末の間に日経平均インデックスを少し買ってみる。積み立てを開始してもいいかも。
思いっきり相場が崩れていたら、「バンクローン」や「ハイイールド社債」のファンドなんかも面白そうだけどね。それで、しばらくして上がってきたら、「利益確定」。やってみないとわからないからね。「経験値」って、とても大事だから。
ひな:先生、男らしい……!
しんた:僕たちも、無理のない範囲で考えてみよう!