企業の賃金抑制スタンスを反映して、消費の形態も大きく様変わりしました。百貨店売上高は大きく落ち込み、変わって、ファストファッションが登場しました。くしくも、ユニクロを運営するファーストリテイリングが東証二部に上場したのは、消費税の増税があった1997年4月。デフレの寵児として脚光を浴び、1999年2月には東証一部の銘柄になりました。

◆百貨店の売り上げは右肩下がり。服を買う場所が変わった

(出所)経済産業省「商業動態統計」

 消費者物価指数を確認すると、財の価格は輸入品の価格の影響などを通じて多少の変動がありますが、サービスの価格は消費税の影響を除けば1997年以降、ほとんど変わりがありません。

◆デフレに苦しんだ日本。物価は20年前と変わらず

(出所)総務省統計局「消費者物価指数」を基に筆者作成(1989年=100で基準化)

 このような状況を打破するために、現在、異次元緩和が行われているのですが、通貨供給量を増やし、金利を人為的に抑え込んでも、目標としている消費者物価上昇率2%を達成できずにいる状況が続いています。

 マネタリーベースは現金と日本銀行当座預金で構成されています。バブル期が30兆円台、異次元緩和のスタート時は100兆円台前半だったのですが、今や500兆円に達していて、先々のことを考えると気がかりな水準にあります。

◆日銀は国債を買い集め、お金でじゃぶじゃぶにしたが・・・

(出所)日本銀行「マネタリーベース」

 貸出約定平均金利(新規実行分・長期貸出)を見ると、国内銀行の貸出金利は1%を割り、中小企業に融資をしている信用金庫の金利は1%台半ばです。次の景気後退期の貸し倒れコストを考えると、採算が取れるのか心配になる水準にあり、下限に張り付いたと言えそうです。

◆貸しやすいけど、貸しても儲からない銀行

(出所)日本銀行「貸出約定平均金利」

 金融緩和で住宅ローン金利も低下しましたが、預金金利も低下しているので、がんばって貯めたお金が増えない状況が続いています。今では1,000万円以上を1年間定期預金で預けても、預金金利は0.011%なので1,100円しか受取利息がつきません。

 ここから税金を引かれると、1,000万円を1年預けても900円にもならない計算になります。普通預金金利にいたっては現在0.001%なので、1,000万円を預けても税金を考慮すると受取利息は100円に満たず、ATM手数料を下回ってしまいます。