「平成」という時代が区切りを迎えるまでの時間が短くなってきました。新しい元号が始まるのは2019年の5月1日からになりますが、平成はこれまでの元号の中で4番目の長さになります。約30年間も使われてきた元号だけに、最近は「平成を振り返る」というテーマをあらゆるところで目にすることが増えていますが、このコラムのテーマも「平成の株式市場をチャートでたどる」です。

 というわけで早速、日経平均の動きを見てみましょう。下の図1は月足の日経平均チャートです。

■図1:日経平均(月足)の動き 1989年(平成元年)1月~2018年(平成30年)12月10日

出所:Bloombergデータを元に筆者作成

 

 この30年間における株式市場は、(1)「バブルのピークと崩壊」、(2)「ITバブルと崩壊」、(3)「小泉相場」、(4)「リーマン・ショック」、そして(5)「アベノミクス相場」と、主に5つの局面に分けることができます。そして、それぞれの局面のあいだに、「金融機関破綻の連鎖不安」や「アジア通貨危機」、「ライブドア・ショック」、「チャイナ・ショック」などが入り込んでいく格好です。

 ちなみに、図1には赤色の矢印が3つ示していますが、これは消費税実施のタイミングです。それぞれ、税率3%が導入された1989年4月、5%に引き上げられた1997年4月、8%に引き上げられた2014年4月を指しています。

 つい先日になりますが、日経平均は2018年10月2日の取引時間中に2万4,448円まで株価が上昇し、約27年ぶりの高値をつけたことが話題となりましたが、実際に、27年前(1991年)の状況を確認してみると、バブル経済の崩壊とともに日経平均も大きく下落していた時期でした。その後もITバブルや小泉相場など株価が戻りを試す局面があったものの、株価を戻しきることができず、結局はリーマン・ショックを経て2008年10月に6,994円の安値をつけることになります。つまり、日経平均がこれまでの戻り高値を更新するまでに長い年月がかかったわけです。

 株価の推移で具体的に追っていくと、日経平均は1989年12月につけた史上最高値である3万8,957円から、リーマン・ショック後の2008年10月につけた安値まで、約20年かけて3万1,963円下げ、まさに「失われた20年」でした。そして、その後の10年間で1万7,454円戻したわけですが、下げ幅に対する戻りの割合は54%ほどですので、ようやく「半値戻し」を達成した状況です。

 一方、同じ期間の海外市場はどうだったかについても見て行きます。下の図2は、1988年末を100としたNYダウと日経平均の推移です。

■図2:米中株価指数の推移(月足・1988年末を100)

出所:Bloombergデータを元に筆者作成

 

 この30年のあいだに、日米の株価指数の水準は大きく差が開いてしまっています。では、この両株価指数の差はどこにあるのでしょうか?次の図3は、東証1部の時価総額と日本の名目GDP額の推移です。