本日の注目通貨
ドル/円:今夜の雇用統計に注目!
木曜日のドル/円は、東京時間の113.18円で頭が抑えられ、NY時間には112.23円まで下落。世界の主要株価の下落でリスク回避姿勢がマーケットで強まって円が買われました。世界景気減速を懸念して資源通貨下落したことも、資源通貨安/円高の動きを強めました。
先週末のG20で演出された米中のデタント(緊張緩和)は、この日、米国が中国の通信機器大手のファーウェイの幹部をカナダで逮捕したことで、1週間ともたずに終わりを迎えました。トランプ政権は通商問題で譲歩する考えはさらさらないわけで、追加関税の猶予期間が終了する来年3月から再び貿易戦争が激化するのは必至だとして、日本をはじめ欧米の株価が大幅続落することになりました。
そして今夜は米国の11月雇用統計が発表されます。詳しくは、「米雇用統計で利上げを最終確認!不吉なサインが見つかることも?」をぜひお読みいただきたいと思いますが、非農業部門雇用者数の予想中心値は20万人と、強い数字になっています。
ところが、昨夜発表された先行指標とされるADP雇用データが17.9万人と低かったため、今夜は予想をかなり下回る可能性が出てきました。実際に、新規失業保険申請件数は増加していますし、米国の3工場を閉鎖する米大手自動車メーカーのGMは新規採用を縮小すると考えられます。
雇用統計が「(利上げは)経済指標次第」という見方に応えるだけの結果を出せないのでは、とマーケットは疑心暗鬼になっています。もっとも雇用統計はけっこうブレる数字で、翌月になって上にも下にも大幅修正されることは珍しくありません。FRB(米連邦準備制度理事会)も1回の数字で判断することはない、と言っています。
とはいえ今の状況では、仮に悪い結果となった場合、「それは貿易戦争のせいだ」との連想が働きやすく、ドル売り、株安が加速するリスクもあります。反対に予想を上回るならば、悲観に傾くマーケットの考えを修正することになるでしょう。