本日の注目通貨

ドル/円:114円の重さを確認

 水曜日のNY市場でドルが急落。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言がドル売りのきっかけとなりました。ドル/円は一時、今月14日以来の114円台に乗せて年初来高値に接近していましたが、一気に113.44円まで後退。(チャート1)

 パウエル議長はこの日のスピーチの中で、FRBの現在の政策金利は、中立水準を「わずかに下回る」レベルにあるとの見解を示しました。中立水準とは景気が加速も減速もしないような金利のレベル。ほんの2カ月前には「まだ中立的な金利水準には遠い」とパウエル議長が述べていたことと比較すると、現在のFRBは利上げに対して消極的、少なくとも積極的ではないと受け取られ、これがドル売りとなりました。

 とはいえ、スピーチ全体では、米経済に対する自信が表れていましたし、利上げについても従来通り「段階的な利上げが適切」と述べ、それほど悲観的になる要素は見当たりませんでした。ですので、この日のドル売りは、FRBのスタンスの変化というより、高値圏まで伸びきっていたドルの週末の大イベント前の調整の要素が大きかったと考えらます。ドル/円ついては改めて114円台 の重さを確認しましたが、G20で行われる米中会談の結果次第では、年初来高値更新のチャンスはまだありそうです。

 

ユーロ/ドル:反発

 パウエルFRB議長発言によるドル下落で、ユーロ/ドルは反発。1.1267ドルを安値に1.1387ドルまで跳ね上がりました。(チャート2)