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 経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、日本の『キャッシュレス』決済比率(年間決済金額の比率、2015年時点)は、18.4%と2割に満たない状況です。一方世界をみると、韓国は89.1%でトップ、中国は60.0%、カナダやイギリスなどでは50%超となっています。日本政府は、2020年の東京五輪を視野に『キャッシュレス』化を推進しており、2027年までに『キャッシュレス』比率を4割程度にすることを目標としています。

 

【ポイント1】外国人観光客が『キャッシュレス』決済できずに困ることも…

『キャッシュレス』では、インバウンド消費の取り込みだけでなく様々な効果が期待できる

 世界的に『キャッシュレス』化が進む中、日本では外国人観光客が『キャッシュレス』決済を出来ずに困るケースも多く聞かれるようになりました。政府は、外国人観光客の誘致によるインバウンド消費を取り込むことだけでなく、実店舗での無人化省力化や不透明な現金資産の見える化、さらには支払いデータの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化などを狙いとして、今後『キャッシュレス』化を推進していくと見込まれます。

 

【ポイント2】日本では『キャッシュレス』決済が浸透しない?!

『キャッシュレス』化で従来の現金決済のデメリットが解消できる?

 日本では、クレジットカードや電子マネー等のカードの1人当たり保有枚数(2015年時点)が7.7枚と、世界ではシンガポールに次ぐ多さとなっています。一方で、こうしたカード類による民間最終消費支出に占める割合は2割以下と、実際にはあまり使われていません。こうした点からも日本は現金主義と見ることができます。また、銀行等のATMが街の至る所にあって、現金の引き出しが容易な環境にあります。

 しかし、現金決済では、会計時やレジを締める時に人手や時間がかかる上、計上をミスするリスクがあるほか、日本は治安が良いものの現金を持ち歩くことで盗難などの紛失のリスクがあります。一方、『キャッシュレス』決済では、専用機器の導入や決済手数料の必要がありますが、最近ではクレジッドカートに比べてこれらのコストが抑えられるQRコードを使った決済などが注目されてきています。

 

【今後の展開】『キャッシュレス』によるメリットをどれくらい感じられるかが浸透の鍵

 今後、日本でも『キャッシュレス』化が進んでいくかどうかは、『キャッシュレス』化によるメリットをどれくらい感じられるかが重要なポイントとなりそうです。例えば支払う側から見ると、現状すでにある、電子マネーを使うことでポイントが付与されるシステムは魅力的で、利用者も増加しています。来年10月には、10%への消費増税がほぼ確実となっていますが、政府はその際発行が見込まれるプレミアム商品券をマイナンバーカードで貯められるポイント制度で発行した場合に、紙の商品券よりも上乗せ額を優遇する策などを検討しています。今後は政府の積極的な後押しにより日本でも『キャッシュレス』化が進展すると期待されます。