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原油先物が年初来高値を更新。「資源関連株」の投資判断。大手総合商社は?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

原油先物が年初来高値を更新。「資源関連株」の投資判断。大手総合商社は?

2018/10/4
・WTI原油先物が高値更新。産油国会合での「増産見送り」で
・需給が引き締まり、2017年後半から上昇が加速した原油価格
・資源関連株の投資判断:総合商社に投資妙味を感じる
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WTI原油先物が高値更新。産油国会合での「増産見送り」で

 WTI原油先物(期近)は、10月1日に1バレル75.23ドルまで上昇し、年初来高値を更新しました。9月23日に、OPEC(石油輸出国機構)参加国がアルジェリアで会合を開き、原油の減産緩和(増産)について話し合いましたが「増産見送り」となったことが、原油先物の一段高につながりました。

<WTI原油先物(期近)の動き:2018年3月1日~10月2日>

出所:楽天証券経済研究所が作成

 米国がイランへの石油関連の制裁を開始する11月4日が近づくにつれ、イラン産原油の供給減少懸念から、原油先物は上昇。9月23日の産油国会議は、トランプ米大統領の要請を受け、「イラン産原油の供給減少を補うための増産」を話し合うものでした。事前に、増産が決まると憶測が広がっていましたが、「トランプ大統領への反感」が影響し、増産見送りとなりました。

 これまで、サウジアラビアやロシアは「供給不足に対応して増産」することを示唆していただけに、「増産見送り」はサプライズとなりました。

 

需給が引き締まり、2017年後半から上昇が加速した原油価格

 原油需給・価格がどう推移してきたか、簡単に2014年以降の動きを振り返ります。

<WTI原油先物(期近)の動き:2014年1月2日~2018年5月28日>

出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定

 原油価格は、世界の原油需給のバランス変化によって動いています。需要は年々安定して増加していますが、供給はさまざまな要因で増えたり減ったりします。その結果、原油は供給過剰や、需要過剰になって、乱高下しています。

 グラフ中の<1>から<4>の動きを、以下に説明します。

<1>2014年に原油価格が急落
2013年まで原油の世界需給は、日量50万バレルの需要過剰でしたが、2014年に日量90万バレルの供給過剰になったため、原油価格は急落しました。米国でシェールオイルの生産が拡大したことが、供給過剰を招きました。

<2>2015年後半に原油価格が再び急落
2014年の原油急落で、米国のシェール油田でコスト割れが増えました。2015年前半は、シェールオイルの生産が減る思惑から、原油価格は反発。しかし、2015年後半は中東原油が増産され、供給過剰が日量2百万バレルまで拡大したため、原油価格が再び急落しました。高コストの米シェール油田は廃業に追い込まれたものの、低コストのシェール油田が増産したことで、シェールオイルの生産はあまり減りませんでした。

<3>2016年に原油価格が反発
米シェールオイルの生産がようやく減り始めたこと、OPECが減産に向けて話し合いを始めたこと、世界需要が順調に拡大したことを受け、原油需給が徐々に改善に向かい、原油価格が反発しました。11月にOPEC+ロシアが減産で合意すると上昇に弾みがつきました。

<4>2017年後半~2018年にかけて、上昇が継続
世界景気の回復を受けて、原油需要が順調に拡大する中、OPEC+ロシアの減産が続けられたため、需給がしまり、原油価格は上昇しました。

 今年5月8日、トランプ米大統領が、イラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開すると表明。このことが、原油先物がさらに上昇し、1バレル70ドル台に乗せる原動力となりました。米国は、11月までにイランからの原油輸入をやめるように一方的に宣言し、イランと取引する企業に制裁を課すことを示唆しています。日本や欧州でイランと取引のある企業は、トランプ大統領の強硬姿勢に戦々恐々としているところです。イラン原油の供給減少懸念が原油高止まりにつながっています。

 一方、米シェールオイルは、増産が続いています。技術革新によって年々生産コストが継続的に低下してきました。原油価格上昇で、再び、増産トレンドに入っています。ただし、今のところ、世界的な原油需給を緩和するには至っていません。

 

資源関連株の投資判断:総合商社に投資妙味を感じる

 2016年以降、原油だけでなく、鉄鋼石・石炭・銅など、資源価格は、全般的に反発が続いてきました。これで、一時、収益が大幅に悪化していた日本企業の資源ビジネスは息を吹き返しました。

 ただし、世界的な技術革新によって原油などの資源を安く大量に生産する技術は、年々進歩しています。供給過剰におちいって資源価格が再度下落することは、これからも起こりえます。そうした不安を反映し、資源関連株は、総じてPER(株価収益率)などのバリュエーションで、割安となっています。

 私は、資源ビジネスだけ展開するピュアな資源株は、収益が不安定なので、高く評価することはできないと考えています。具体的には、国際石油開発帝石(1605)石油資源開発(1662)には、投資したいと思いません。

 資源ビジネスで稼ぎながら、非資源ビジネスの収益を伸ばし、最高益を更新してきている大手総合商社には、積極的に投資したいと思います。

 2019年3月期の連結純利益(会社予想)で、最高益更新を見込んでいる、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)三菱商事(8058)住友商事(8053)に、投資妙味を感じます。三井物産(8031)も、2019年3月期の連結純利益(会社予想)が最高益に届きませんが、最高益に近い利益を上げる見込みであり、同じように投資価値は高いと考えています。

<大手総合商社5社の株価バリュエーション:2018年10月3日時点>

コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
8031 三井物産 2,091.0 8.6 0.9 3.3%
8058 三菱商事 3,546.0 9.3 1.1 3.2%
8001 伊藤忠商事 2,211.0 6.8 1.3 3.8%
8002 丸紅 1,038.0 7.8 1.0 3.3%
8053 住友商事 1,905.5 7.4 0.9 3.9%
出所:楽天証券経済研究所が作成。PERおよび配当利回りは、2019年3月期の1株当たり利益および配当金(会社予想)から計算

 ただし、1つ注意点があります。商社ばかりに集中投資すべきではありません。「同じバスケットにすべての卵を入れるな」という投資格言があります。単一のリスクを取りすぎないよう、分散投資せよという意味です。

 大手総合商社は、魅力的な投資対象であると考えますが、世界景気敏感株で、株価のボラティリティ(変動性)が大きいことを考えると、あくまでも分散投資の一環として、保有すべきと考えます。

 

 

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2018年9月5日:イラン制裁第2弾で原油関連のバルブを締める米国
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