図表3:米国株式と「選挙サイクル」の関係

出所:Bloombergのデータ(1945年~2017年)と各種情報より楽天証券経済研究所作成

 

「年末高」なら日経平均は2万5,000円程度を目指すと予想

 それでは、日経平均のファンダメンタルズ(業績見通し)やバリュエーション(予想PER[株価収益率])にアノマリー(季節性)を加味し、年末高を視野に入れた日経平均の上値目途を試算してみます。

 図表4は、日経平均の推移に想定PER13倍、14倍、15倍、16倍それぞれの株価水準(予想EPS×想定PER)を重ねたものです。市場心理の揺れで短期的に株価は上下しますが、ファンダメンタルズとバリュエーションの観点から見た「上値目途」と「下値目途」が徐々に切り上がってきたことがわかります。

 日経平均が今年1月23日に年初来高値2万4,124円(終値)をつけた時点の予想PER(2018年3月期予想)は約15.8倍でしたが、現在の予想PER(2019年3月期予想)は約13.6倍です(19日)。予想EPSが1月23日時点の1,526円(前期予想)から現在の1,736円程度(今期予想)へ約14%増額されているからです。

 株価が上昇するには、企業業績(EPS)の拡大、もしくは市場心理の改善から影響を受けやすいPERの拡大が必要となります。誰も年末の投資環境を断言することはできませんが、外部環境に対する不安が緩和すれば、予想PERは年末に向け14.5倍程度(13~16倍の中間)まで拡大して不思議ではありません。

 予想EPSが現水準を維持していくと仮定すると、日経平均は年初来高値(2万4,124円)を上抜け、2万5,000円程度(予想EPS1,736円×予想PER14.5倍)を目指す展開を予想しています。

図表4:日経平均の年末までの上値目途を試算する

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成

 とは言っても、上記は上値メドの試算であり、国内外投資家が株式に強気となることを躊躇(ちゅうちょ)させるリスク要因(外部環境面の不安)もあります。 具体的には以下の点などが挙げられます。

(1)米・中間選挙(11月6日)を控え、選挙結果とトランプ政治の行方に不透明感がある

(2)米FRB(米連邦準備制度理事会)は9月に追加利上げを実施するとみられ、米金利動向に不確実性がある

(3)中国景気が減速基調をたどる中、新興国の株式や通貨の先行きに不安がある

 上記のリスク要因が顕在化する場合、投資家は一時的にせよリスクオフ(回避)姿勢を強め、為替相場でリスクオフの円買いが進み、国内株式に下げ圧力となる可能性は排除できません。メインシナリオとして「年末高」を想定していますが、リスク要因の展開に目を配り、リスクシナリオにも警戒していく必要はあります。

 

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