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第2次安倍内閣以降の政権運営に対する評価を問う『自民党総裁選』が9月7日に告示され、連続3選をめざす安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長が立候補しました。『自民党総裁選』は9月20日の投開票日に向けて国会議員405票、党員・党友による地方票405票の計810票で争われます。選挙結果は総裁選後の党運営など政局に大きな影響を与えるため、その結果が注目されます。
【ポイント1】国会議員票では首相が優位
両候補の地方票獲得数が焦点
首相陣営は優勢な議員票に加えて地方票でも7割以上の得票を目指すのが基本戦略です。議員票では、首相陣営は細田派、麻生派、岸田派など主要派閥の支持を得て、9月3日の選挙対策本部の発足式に代理出席の秘書らを合わせた議員票の8割超に当たる計346人が参加するなど優位にあります。
このため、前回石破氏が上回った地方票を、首相がどれだけ取れるかに焦点が移っています。得票率で首相陣営が目標の7割を確保できれば議員票と合わせ圧勝と評価され、今後の党運営に弾みが付きます。
【ポイント2】首相は経済政策の成果を強調
石破氏は経済再生の核に地方創生を位置づけ
両者は9月10日、『自民党総裁選』の所見発表演説会と共同記者会見にそろって臨み、首相は現政権の5年半あまりの経済運営に関して、成長率や雇用、税収などのデータを列挙して成果を強調しました。一方 石破氏は経済再生の核に地方創生を位置づけると述べ、急速な人口減こそが「最大の国難」との認識を示しました。
その他の主張をみると、首相はアベノミクスの継続、憲法「9条の2」を新設して自衛隊を明記する改正案の早期発議、社会保障において雇用や年金、医療を3年間で抜本改革するとしています。
石破氏は憲法改正では、緊急事態条項の新設などを優先、9条については十分な議論が必要としています。また経済政策では、アベノミクスを修正して地方や中小企業を重視すると主張しています。
【今後の展開】『自民党総裁選』を通じて活発な議論が望まれる
アベノミクスの大胆な金融緩和や機動的な財政出動は、名目GDPの成長、株式市場の大幅な上昇などをもたらした一方、その持続性や副作用について指摘する声も聞かれます。経済以外でも、日米の貿易協議、日朝交渉など懸案事項も控えています。この『自民党総裁選』を通じて具体的な選択肢が国民に示され、活発な議論が行われることによって生産性や潜在成長率などの改善に繋がっていくことが望まれます。