前編では、イベントの第1部、浪費生活を続けるための鉄則についてお伝えしました。  前編をみる>>

 今回は「第2部お金周りを徹底見直し個別指導」「第3部みんなの疑問」の様子についてお伝えします。

止まらない浪費。どうすればいい?

第2部お金周りを徹底見直し個別指導

ゲストの浪費女子さんが登場

右:シャチさん(会社員28歳)は「着物沼にはまって300万円のローン生活をしているのに、舞台を見に行くことがやめられません」。
 

中央:コアラさん(会社員19歳)は「新社会人で実家暮らしです。ジャニーズと地下アイドルの2足のわらじを履いて浪費をしています。悩みは貯金がないこと」。
 

左:ヒラメさん(管理栄養士28歳)は「サッカーとプロレス観戦、声優など、いろいろなジャンルにはまりすぎてお金が続かないこと」。それぞれ深い沼……じゃなくて悩みを持っています。

 3人の浪費女子の悩みに、ファイナンシャルプランナーの篠田尚子(楽天証券経済研究所)が直接アドバイスをしました。

シャチさんの悩み

 

シャチさんへのアドバイス:認識合わせが大事

アドバイスをするFPの篠田尚子

篠田:結婚予定であれば入籍の前にきちんと認識合わせをしてください。具体的には、出費に直結する結婚関連のイベントをどうするか(新生活、顔合せ、結婚式・披露宴、新婚旅行など)。毎月の収支をどう管理するか。

 衣食住のバランス。結婚に伴って働き方が変わる可能性はあるかという点を、彼とすり合わせる必要があります。

――会場のお客さんたちが一所懸命メモをしています。少し言いにくいお金の話も何か起きる前にきちんと話すことが必要ですね。

篠田:もう一つのアドバイスが「自分名義の貯金、年金の準備を始める」こと。「簡単に取り崩せない仕組み(iDeCo(イデコ:確定拠出年金)、つみたてNISAなど)を取り入れることがポイント」。

――将来、何が起こるか分かりませんからね。本当に。

シャチさん:制度は難しく感じましたが、節税の制度もあり、取り組んだほうがお得だと分かりました。大雑把な私でもできそうです。

 

コアラさんの悩み

 コアラさんは実家暮らしなのに、いえ、実家暮らしだからこそのお金の悩みを抱えています。

 

コアラさんへのアドバイス:まずは自己投資

篠田:お金を貯めましょう。ではなくてとことん自己投資してください。
時間があるうちに資格取得、習い事、自己啓発など、自分のためになることに積極的にお金を使いましょう。若いうちは、投資で稼ぐことを考えるよりも、自分の稼ぎ(給料)を上げる方が賢明です。

 新社会人のうちは、会社でも重い仕事を任されることはなく、平日でも比較的時間が自由になるはず。だからこそ、勉強をしてスキルアップを図りましょう。貯金ができない悩みについては、貯金を意識するのは20代後半からでいいのですが、実家暮らしのうちに「貯金癖」をつけてください。

――自己投資について会場のお客さんのアンケートでは、半分が「自己投資にお金を使っています」。自己投資の先は語学、美容、資格、フィットネスなどさまざまでした。

ヒラメさんの悩み

 ヒラメさんは1人暮らし。クルマを所有しているので維持費がかかる上に、奨学金を返済中です。

 

ヒラメさんへのアドバイス:給料天引き!

真剣にアドバイスを聞く参加者

篠田:生活費口座に月末に3万円残すよりも3万円天引きするほうが貯めやすいです。

 利子が付く奨学金の返済を優先し、返済が終わったら、奨学金相当分を貯金に回すようにしてください。職場で加入している確定拠出年金には部分的に投資信託を組み入れて、資産運用の第一歩を踏み出してみることも大切。

 さらにがん保険と医療保険の保障内容を再確認して、保障がかぶっている部分を調整して保険料を節約しましょう。

 

篠田せんせい、おしえて!

第3部みんなの疑問にお答え

 第3部が始まるころには、イベント終了時刻に…! かなり盛り上がり時間オーバーだったため、事前のアンケートにあった「クレジットカード」について篠田が答えていきます。

篠田:ぞれぞれのイベントのチケットや航空券を購入するときなど、クレジットカード払いは増えがちです。保有枚数が多くなると利用代金の管理に手間がかかったり、紛失するリスクも高まります。一般的に結婚すると姓が変わる女性は、カード会社に名前を変更する届け出を出すのも面倒です。不要なカードは持たないようにしましょう。

 でもそれ以上に注意したいのが「リボ払いです」。

―会場のお客さんへのアンケートでは30%がリボ払いの経験があることが発覚! リボ払いの残高には高い利息がかかります。リボ払いは注意が必要です。

クレジットカードは信用!

篠田:またクレジットカードの支払いが遅れると、信用情報に傷が付きます。信用情報は情報機関に一元管理されており、住宅ローンの審査時などに銀行もチェックするため、将来、マイホームが持てないことも。

家計簿はざっくりでOK!

篠田:家計簿を付けるのが苦手な人は、きれいな家計簿を目指さなくてもいいです。支出をざっくり管理してください。前の月、前の年と比較して多すぎないかをチェックする。それでも面倒ならレシートをとっておいて比較しましょう。わたし(篠田)も細かくできず、ざっくりです。

オタクにも親がいる!

 かんさんがアンケートを基に代表質問。「家族の将来が心配で、、私が大黒柱として支えないと、と思っているのですが……。オタクにも親がいます!」。

篠田:介護保険制度を調べてください。また国や自治体の介護のための補助や手当、制度があるので、相談するところから始めてください。全部、自分のお金でやろうと考えなくていいです。

ー会場は「オタクにも親がいます!」で大爆笑、「全部、自分のお金でやろうと考えなくていいです」でどよめきが。最後に篠田より「みなさんは社会保障に守られているので、過剰に心配することはありません。それにお金を使うことを知っている人は貯められますよ」と。

「いまだかつてない情報量」(ひらりささん)となった「よいこのファイナンス」は、終了時間をオーバーするほどの盛り上がりで終わりました。

 

会場の浪費女子の感想

 

OL王さん:「自分の給料を一番に」「安心の上で投資しましょう」と言われて怖くないと思った。篠田先生も浪費しているから、前向きに考えようと思った。

Mさん:NISAを調べてみようと思った。60歳まで生きるイメージがまだないので、5年間非課税のNISAから始めたい。

moryさん:自分がお金にはだらしなく、失敗も多いので、調べても正しく調べられるか不安。こういうライトなイベントだとうれしい。

<編集後記>取材を終えて…

 人が集まるのか不安だった「よいこのファイナンス」のイベントは大盛況!
どう費やしていくかについては、みんな不安で一緒です(生きているだけで)。
 現状の理解(給料の内容・国の制度)や、参加者の人の悩み、クレジットカードの使い方、臨時の出費対応など内容が凝縮した濃厚な3時間となりました!(予定の2時間半を30分オーバー!) 浪費はやめずに、できることや国の制度を知ることで、沼とお金の付き合い方が見えたのではないでしょうか。
 『浪費生活』を続けながら貯める、そして増やしていきましょう!(編集部)

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<プロフィール>

 劇団雌猫は、もぐもぐ、ひらりさ、かん、ユッケの4人組からなるサークル。同人誌「悪友」シリーズでは、アラサー女子がはまった「浪費」「オタク」という「沼」(落ちると際限なくお金を使ってしまう底なし沼)を熱く語っています。

 カルカルで行われる劇団雌猫の「よいこの」シリーズは、いろいろな「沼」を勉強するイベント。

 これまで1時限目「K-POP」、2時限目「おしゃれ」を実施。今回の3時限目のテーマは「ファイナンス」。ためる、ふやす、備えるという浪費とは真逆のテーマに挑みました。