米国の第2四半期GDP成長率(国内総生産の成長率速報値)は年率換算で4.1%と、約4年ぶりの高い伸びを記録しました。ブレの大きい純輸出が成長率を1%強引き上げた一方、設備投資がやや足を引っ張る形となりました。

 これはおそらく、昨年末に成立した減税法案の中で、設備投資減税の適用について、企業側が税務当局の通達を待っているのが要因と考えられます。税務当局の通達があると思われる秋以降は、減税のメリットを受けようと、企業が駆け込み的に設備投資に踏み切ってくることが予想され、純輸出に代わる米国経済成長の担い手となってくることでしょう。

 さて、このような米国経済好調の一因は、言うまでもなく、昨年末に成立した30年ぶりの大税制改革にあります。個人所得減税は今年1月から始まっているため税引き後所得が増加し、月を追うごとに個人の懐が豊かになっています。第2四半期は、個人消費だけで2.7%と高い成長寄与となりましたが、明らかに個人所得減税の影響が出始めているということでしょう。

 しかし、昨年末に成立した1.5兆ドルに上る減税の、約9割を占めるのは法人税減税です。これまで先進国で最も高い法人税率であった米国が、英国に次いで2番目に低い法人税率にまで一気に法人税を引き下げたことで、これまで法人税率の高さを理由に、米国を避けていた企業は米国でのビジネスを検討するでしょうし、米国から出て行っていた企業は米国にビジネスを戻すようになるでしょう。中長期的に見れば、このような大きな構造的変化が米国の成長率を引き上げる結果になるでしょう。