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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手やコンビニエンスストアの店長など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。4月の『街角景気』の現状判断DIは、企業動向の改善を受け、わずかながら2カ月連続で上昇しました。先行き判断DIは、前月から0.5ポイント改善して50.1と好不調の目安の50を上回りました。

 

【ポイント1】現状判断DIは2カ月連続改善して49.0

先行き判断DIは50ポイントを回復

 4月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月の48.9から0.1ポイント上昇して49.0となり、2カ月連続で改善しました。内訳をみると家計動向関連は住宅関連が悪化する一方、好天に恵まれ飲食関連が改善し、横這いとなりました。企業動向関連は製造業・非製造業共に改善しました。

 先行き判断DIは前月から0.5ポイント上昇して50.1となりました。6カ月振りの上昇となり、景気判断の分岐点とされる50ポイントを上回りました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全ての項目でDIが改善しました。暑い夏が見込まれることや株高・円安に転じたことが一因とみられます。

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【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

天候要因の重石は解消

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、現状判断では野菜の高騰はほぼ収まりましたが、「値上げ」に関わる単語の使用頻度は増加しており、景況感の改善の重石となっているとみられます。

 先行きについては、通商問題に対する単語が減少、円高など資産価格に関する単語の使用頻度も落ち着いた一方で、政治に関わる単語、値上げに関する単語、人手不足に関する単語の使用頻度は高止まり、ないし増加しました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】天候や賃上げによる回復を期待

 内閣府は、『街角景気』について「緩やかな回復基調が続いている」と基調判断を据え置きました。現状は景気に加速感はみられません。一方先行きについては、気象庁の「季節予報」によれば5~7月は暑い夏が予想されていますが、「暑い夏はコンビニなどの追い風になる」、あるいは「春闘でかなり賃上げが実施されており、夏ごろにはボーナスの増加と併せて個人消費が回復してくる」などの声も出ており、好調さが見込まれる外需に加えて、内需の回復により景気が底堅さを増すことが期待されます。