4月の株価値上がり率ランキング

 決算や個別の材料で上がった銘柄がほとんど。毎月のことになっていますが、市場別ではマザーズ銘柄が6、ジャスダック銘柄が14でした。大化け株はジャスダックから探せ!ですね。材料に強く反応する株は、材料を理由に買う投資家に対して、売りをぶつける投資家が少ない株です。つまり、個人投資家があまり持っていない株……結果的にジャスダックのほうがマザーズより人気薄ということが上がりやすい背景です。

 値上がり率トップのパルマはマザーズ銘柄ですが、これまで人気化した経緯がなかったからこそ、強材料に対する株価インパクトが強く出ただけです。とはいえ、4月は新興株の売買代金が減少。エネルギー不足の中にあって、急激に値上がりする銘柄は少なかったといえます。月間で4割以上の値上がりとなった銘柄は3月は19銘柄ありましたが、4月はわずか8銘柄でした。

コード 市場 銘柄名 月間騰落率(%) 4月末終値 前月末終値 時価総額(億円)
3461 東証マザーズ パルマ 78.7 6,790 3,800 93
9973 ジャスダック 小僧寿し 60.5 122 76 36
6634 ジャスダック ネクスG 49.2 576 386 87
4287 ジャスダック ジャストプラ 47.0 2,860 1,945 121
3936 東証マザーズ グロバルウェ 45.1 4,165 2,871 48
2814 ジャスダック 佐藤食 42.8 2,427 1,700 226
3557 東証マザーズ U&C 41.1 2,940 2,084 85
2795 ジャスダック プリメックス 40.1 1,206 861 67
3542 東証マザーズ VEGA 38.0 1,552 1,125 161
3236 ジャスダック プロパスト 32.8 312 235 88
7519 ジャスダック 五洋インテ 32.1 309 234 62
5903 ジャスダック SHINPO 29.7 1,752 1,351 108
3541 東証マザーズ 農総研 26.9 2,264 1,784 95
1730 ジャスダック 麻生フオーム 26.0 703 558 24
3965 ジャスダック CAP 25.2 5,360 4,280 141
8889 ジャスダック APAMAN 24.5 1,310 1,052 239
8256 ジャスダック プロルート 23.5 326 264 67
3803 ジャスダック イメージINF 23.4 1,220 989 22
3261 東証マザーズ グランディー 23.3 597 484 23
9263 ジャスダック ビジョナリー 23.0 91 74 145

 

値上がり率ランキング(5銘柄)

1.パルマ(3461・東証マザーズ)

 17日に、日本郵政傘下の投資会社「日本郵政キャピタル」を引受先とした第三者割当増資を発表。翌18日から23日まで、4日連続でストップ高になりました(17日終値3,550円→23日終値7,650円)。

 大株主に登場した「日本郵政キャピタル」にこれほど反応したのは、同じマザーズ銘柄に凄まじい前例があったため。昨年11月、フィルカンパニーが「日本郵政キャピタル」の出資を受けて急騰。発表直前から今年2月の高値まで、わずか3カ月半で株価は5倍強になりました。日本郵政と業務提携するなど、今後の発展を想像したバラ色のシナリオを描くのが株価です。同社についても、(株価推移的に)“第2のフィルカンパニー”になりそう……そんなバラ色のシナリオが描かれました。

2.小僧寿し(9973・ジャスダック

“新生小僧寿し”誕生への期待で株価は急騰しました。23日に同社は、宅配ポータルサイト「出前館」を手掛ける夢の街創造委員会などと業務提携すると発表。発表前日に一部で報じられたことで買いに火が付いたわけですが、業績改善に期待するというより、(物色銘柄が少ないなか)株価100円前後の超低位株に発生した材料に飛び付いたイナゴ投資家が多かっただけ(?)でしょうか。

3.ネクスグループ(6634・ジャスダック)

 決算サプライズで上方向に株価が跳ねた銘柄。13日に発表した第1四半期決算では、売上高は小幅減収ながら、営業損益が衝撃的な大幅黒字に。前年同期の0.78億円赤字から一転、12.85億円の黒字でした。早くも営業利益の通期予想7.43億円を超えています。

 たしかに衝撃的な好決算なのですが、安定的にこの規模の利益を稼げるかどうかには疑問が残るところ。今回の大幅黒字の理由は、仮想通貨向けのトレーディングシステムの開発をしている子会社が、ソフトの実証試験をかねてビットコインの自己勘定投資をしたところ成果が出たためと。(実証試験でのビットコイン自己勘定投資を続けるのかは不明ですが)仮に安定的に利益を稼げるのであれば、同社の開発しているソフトはかなり有能ともいえるのですが。

4.ジャストプランニング(4287・ジャスダック)

 子会社が手掛けるオーダーシステム「プットメニュー」に注目が集まっています。「プットメニュー」は、テーブルや部屋をIoT化して、注文0分会計0分を実現するという未来型システム(2017年11月には総理大臣賞を受賞)。
 2018年2月にハウステンボス内の飲食店、3月には「変なホテル」に導入されたほか、4月もケンタッキーフライドチキンの2店舗で試験導入されると発表しています。今年に入って株価は3倍以上になっていますが、「プットメニュー」を軸にした中長期的な成長に期待するムードを維持しています。

5.グローバルウェイ(3936・ジャスダック)

 材料で4月に急騰しましたが、これまで流動性が極めて低く、保有していた個人投資家が少なかったこともあって、1つの材料で上がり過ぎた側面も。
 急騰のきっかけは、13日の同社のリリースでした。「タイムチケット」という自分の空き時間をチケットにして販売するサービスを、グローバル展開を目的にスイス子会社を設立すると。13日終値2,789円の株価は、5日連続ストップ高となって20日には6,390円に(たった5日で2.3倍!)。その後はハシゴを外される格好で、4月末は4,165円で取引終了。上昇分の6割がたった5日で吹き飛びました。

 

5月に注目したい新興株の動き

 株式市場で5月といえば、「セルインメイ(5月に株を売れ)」という相場の格言が有名ですよね。日本の新興株市場の5月相場はどうなのか? とりあえず、想像するより過去検証。東証マザーズ指数の算出が始まって以降の5月相場を調べてみました。

 マザーズ指数の算出以降、過去14年の5月の勝敗は「7勝7敗」でした(う~ん、ビミョー)。2013年以降(=アベノミクス相場以降)でいえば、「最近5年間は、5年連続で5月に上昇」となっています。「セルインメイ」が連呼されるようになってから、逆に5月は上がるようになってるのでしょうか。ただ、14年間の5月の月間騰落率を平均すると▲2.8%。勝率は5割でも、パフォーマンス的には5月は軟調といえるのかもしれません。

 結局のところ、「セルインメイの5月に売ったほうがいいのか?」。5月に売るかどうかは、「5月の先がどうなのか?」が重要ですよね。同じように6月のマザーズを調べると、マザーズ指数の過去14年の6月の勝敗は「9勝5敗」、勝率で約7割でした。勝率が高いうえに、月間騰落率の平均も+2.9%。5月の▲2.8%分を綺麗にリバウンドするような形で、5月に売るより、5月は6月に向けて仕込んだほうがいいともいえます。

 では、次に「どこで仕込めばいいのか?」ですが、5月の特徴として「大幅安する頻度が高い」というものがあります。例えば、マザーズ指数が前日比3%以上の下落になった回数でいえば、2010年に5回(最大下落率は5月17日と25日の▲7.0%)、2012年は7回(5月7日の同▲7.8%)、2013年も7回(5月23日の▲10.1%)と乱発しています。月間では上昇したとはいえ、2014年に3回、2016年も2回発生しています。

 さらに、下げやすい特異日もあります。それは「5月16日」。2013年が▲6.0%、2014年が▲3.2%、2016年が▲6.8%でした。この日がどういう日か?といえば、“新興市場株の決算発表がほぼ全て通過した翌日”になります。今年についても、15日(火)にサイバーダイン(7779)ソレイジア(4597)カイオム(4583)ナノキャリア(4571)などが発表予定。決算でポジティブサプライズを生みにくいため(例えば、マザーズ銘柄の場合は自社株買いなど株主還元強化を出しにくい)、決算直後に売られるケースが多いことが影響していると言えます。

 そう考えると、6月に向けて仕込むにしても、決算通過後の5月16日以降が賢明でしょう。決算が本当にいい銘柄は、出た直後に急いで買う必要はありません。本当に好決算を出していれば、待っていればもっと上がります。ある市場参加者によると「大型株でも同じ」だといいます。初期反応は、値動きだけに飛び付く短期筋の需給でブレやすく、本当の決算評価は「決算発表の翌々日以降の動きが大事」と。機関投資家の腰の入った買いは、少し時間を置いてから入ると見られます。もちろん、決算発表の直前に、一か八かで仕込む必要もありません。

 買う際の銘柄選びでいえば、「強い株に付つく」ほうがいいと思われます。例えば、先ほどの「決算発表の翌々日以降の動きが大事」でいえば、マザーズのJIA(7172)の決算後の動き方は参考になると思います。そのほか、ベイカレント(6532)、TKP(3479)などのチャートもぜひ見てみてください。機関投資家の買いが入っているのではないか?と想像することができます。

 長々と書きましたが、新興株復活の鍵はなんといっても、マネックスG株相場がはっきりと鎮まる(出来高が明らかに減少する)かどうかにかかっていそうですが。