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『産業用ロボット』は、人間に代わって労働を行う機器であり、日本企業が高い競争力を有します。例えば自動車の生産工場で使われるロボットの場合、スポット溶接を行うロボット、ボディ塗装を行うロボット、部品取り付けを行うロボットなどが導入されています。『産業用ロボット』は根強い省力化ニーズや用途の広がりなどから、拡大が続くと見られ、将来は頭脳労働を行うことが期待されています。

 

【ポイント1】2017年の『産業用ロボット』出荷は過去最高を更新

中国向け輸出が牽引

『産業用ロボット』の活況が続いています。日本ロボット工業会によると2017年の出荷額(会員ベース)は、前年比28.5%増の7,126億円となり2007年以来過去最高を更新しました。前年比プラスは4年連続となり、受注額も同34.1%増の7,594億円と過去最高となりました。

 内外需別では特に輸出が好調で、輸出額は同36.2%増の5,284億円となりました。中でも輸出全体の4割以上を占める中国向けが同57.9%増の2,276億円となるなど牽引しました。

 

【ポイント2】人手不足による省力化投資が背景

医療関連等での用途拡大に期待

 

 中国での『産業用ロボット』の好調は、人手不足の深刻化と賃金の高騰を背景に、省力化投資が拡大しているためです。また高品質を要求されるスマートフォン、電気自動車部品、サーバーなどの製造工程でも導入が進み、性能の高い日本製へのニーズが強まったことも追い風となりました。

 今後はセンサー技術などにより安全性が高まった協働型ロボット(人と一緒に働くことができるロボット)の、人手不足が深刻な医療・介護分野への活用などが期待されています。手術への活用のほか、リハビリや医療検査作業を助ける用途など様々な領域が想定されます。ロボット活用による手術やリハビリ分野などで保険適用範囲が広がっていることも追い風になっています。

 

【今後の展開】高成長が続く見通し

『産業用ロボット』の今後の見通しについては、市場規模は3~5年後には2兆円という見方もあるなど業界関係者の間では強気な見方が大勢を占めています。短期的には設備投資循環の影響はある程度は受けると見られますが、好調の背景となった根強い自動化投資と用途拡大は一過性の要因ではなく、中期的な成長を支えそうです。日本企業はシェア、技術力で優位にある強みを生かして、AIを活用したロボットなど用途拡大のリード役となることが期待されます。