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米連邦準備制度理事会(FRB)は、年に8回開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドット・チャート』と呼ばれ、金融・為替市場の注目を集めています。
【ポイント1】『ドット・チャート』は金融政策を予測するうえでの判断材料
政策の意図を伝達する主要な手段ではないが…
FRBによれば、金融政策の意図を対外的に伝達する基本的な手段は、FOMCの声明であり、『ドット・チャート』は、あくまでFOMC参加者の金利見通しに過ぎません。しかし、将来の政策金利の動きを予測するうえでの、判断材料にはなります。
【ポイント2】2018年は3回の利上げを予想
19年は2回から3回に上方修正
3月20日~21日に開催されたFOMCでは、市場の予想通り、政策金利であるFFレートの誘導レンジが0.25%引き上げられ、1.50%~1.75%となりました。
公表された『ドット・チャート』 をもとに、FOMC参加者が適切と考える政策金利の中央値が示唆する、1回当たり0.25%の利上げ回数を測ってみると、18年は3.0回、年末のFFレートは2.13%となります。前回12月のFOMC当時と比べ、特段の変化はありませんでした。
ところが、19年は利上げ回数2.3回、年末のFFレート2.69%から同じく3.0回、2.88%、続く20年は同じく1.50回、3.06%から2.0回、3.38%に上方修正されました。財政支出拡大による景気の刺激効果等を織り込んだためと考えられます。もっとも、「緩やかな利上げ」路線の変更を示すほど大きく修正されたわけではありません。
【今後の展開】市場の利上げ予測は、FOMCメンバー見通しと同じく緩やか
直近のFF金利先物市場は、2018年の利上げを約3回と見込んでいます。市場が織り込む利上げのペースと、 『ドット・チャート』 から推測されるFOMCメンバーの見通しは、ほぼ同じということになります。
物価上昇率が低い水準で落ち着いていることを踏まえると、FOMCメンバーや市場の予測通り、「利上げのペースは緩やか」なものになりそうです。そうであれば、市場に及ぼす影響は限定的と見られます。