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『公示地価』は、国土交通省が毎年3月に公表する全国の土地の価格(1月1日時点)です。「住宅地」、「商業地」、「工業地」など土地の用途別に公表され、一般の土地取引価格の指標にされるほか、公共事業用地の取得価格などの算定基準となります。2018年の地価調査は約26,000地点で実施され、『公示地価』は26年ぶりに地方圏の商業地がプラスに転じるなど、回復傾向が鮮明になりました。

 

【ポイント1】全国の全用途平均と商業地は3年連続の上昇

住宅地は10年ぶりに上昇に転じる

 国土交通省は27日、2018年1月1日時点の『公示地価』を発表しました。全国の全用途(住宅地、商業地、工業地)平均は前年比+0.7%と、3年連続の上昇となりました。

 全国の商業地も同+1.9%と3年連続の上昇となりました。外国人観光客の増加などによる店舗やホテルの需要の増加や再開発の進展などから不動産需要が旺盛で、地価は堅調に推移しています。

 全国の住宅地は同+0.3%と、リーマン・ショックのあった2008年以来10年ぶりに上昇に転じました。雇用・所得環境の改善が続くなか、金融緩和政策による低金利環境や住宅ローン減税などを背景に住宅取得が後押しされ、利便性の高い地域中心に地価が回復しています。

 

【ポイント2】26年ぶりに地方圏が下落から脱する

上昇率トップは住宅地、商業地とも北海道・俱知安町

 

 今回の『公示地価』では、大都市圏だけでなく、地方圏の地価回復が鮮明となりました。地方圏の商業地が26年ぶりにプラス(同+0.5%)に転じたほか、住宅地の下落率も縮小(同▲0.1%)しました。その結果、地方圏の全用途平均は26年ぶりに下落を脱し、横ばいとなりました。

 地価上昇率の全国トップは、住宅地、商業地ともに、スキーリゾートのある北海道・俱知安町でした。外国人観光客の増加が地価上昇を支えています。

 

【今後の展開】地価回復で脱デフレ環境が整い、景気の好循環へ

 国土交通省は、今回の『公示地価』について、「全国的に緩やかな地価の回復傾向が明らか」と分析しています。全国の調査地点のうち、地価の上昇地点数は41%を占め、下落地点数の38%を上回りました(横ばいは21%)。上昇が下落を上回るのは10年ぶりのことです。

 これまで日本経済は地価下落に伴うデフレ圧力が成長の制約要因となってきましたが、全国的に地価上昇が広がってきたことで、脱デフレの環境が整い、投資拡大による景気の好循環へ向かうことが期待されます。