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 日本はかつてはシェア50%を有する造船大国でしたが、現状は韓国、中国に次ぎ20%程度にとどまっています。造船受注は2015年までの大量受注の反動もありますが、2016年に大幅に減少しました。一方、大手4社の造船部門の統合による2013年のジャパンマリンユナイテッド以来大きな再編はありませんでした。今年に入り再編の動きが見られていますが、一段の再編による競争力向上が期待されます。

 

【ポイント1】造船受注は大幅減

日本は再編が停滞

 造船受注は2015年までの大量受注による深刻な船舶過剰から2016年には大幅な受注減となりました。2017年以降受注は低水準ながら回復基調にありますが、国内主要企業の建造能力1,200~1,300億トン程度に対して、2017年の受注は945億トン(日本船舶輸出組合統計)にとどまります。

 韓国は財閥系総合重工、中国は国営造船所中心に再編が進みました。一方、国内では2013年のジャパンマリンユナイテッドの誕生と同年の川崎重工と三井造船の経営統合破談後は、2020年の排ガス規制など環境規制強化に対する特需期待などから再編の動きが鈍っていました。

 

【ポイント2】今年に入り再編機運が高まる

造船部門の分社化や提携が拡大

 

 受注は回復基調にありますが、再編等により体力が回復した韓国、中国企業が受注攻勢に出て競争が激化したことから、今年に入り国内の『造船業界』で再編が相次いでいます。大手の総合重工メーカーがコスト管理や提携を進めやすくするため、造船部門を分社化し、造船専業大手との提携を進めるなどの動きが続いています。

 1月にシェア国内首位で造船専業の今治造船が三井系の南日本造船を買収、また三菱重工は商船部門を三菱造船として分社化し、今治造船など専業3社と提携を進めています。

 2月に三井造船は常石造船との提携拡大協議で合意、4月に持ち株会社に移行して造船部門を事業会社化する方針です。

 

【今後の展開】韓国、中国企業に対抗するため今後も再編が続こう

 日本の『造船業界』は直近では新造船の受注シェアが20%程度にとどまり、韓国、中国企業の技術力向上により、LNG船など高付加価値分野での技術格差も縮小しています。今後は環境規制が強化され多額の開発費が必要となります。進み始めた業務提携の動きが、造船専業と総合大手の造船部門などの間で合併など更に踏み込んだ再編が進み、競争力強化につながることが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。