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世界的な燃費規制の強化の中、国内外を問わず電気自動車(EV)の共同技術開発などで提携が相次ぎ、EVは他業種を巻き込んだ総力戦の様相を呈しています。そうした中、EVの普及の鍵を握るのが車載用電池の性能です。電池が走行距離の長さやEV価格の鍵を握るからです。中でも次世代電池の本命とされ注目されるのが『全固体電池』です。開発競争が一段と加速していくと見られます。
【ポイント1】電気自動車へのシフトが進む
本格普及には電池の性能が鍵、『全固体電池』が本命
地球温暖化への対応等から各国の燃費規制が一層強化される方向にあります。例えばイギリス、フランスでは2040年までにガソリン・ディ-ゼル車の販売を禁止し、中国は2019年に販売台数の10%を新エネルギー車にするよう義務付けます。
EVは、走行距離や充電速度などの利便性でも、価格などの経済性でも、ガソリン車に対して優位とは言えないのが現状で、その原因の多くは電池に起因すると見られています。現在使われているリチウムイオン電池では性能改善の余地が小さいと言われており、次世代電池の本命として『全固体電池』が期待されています。
【ポイント2】『全固体電池』は出力や充電性向上
積極投資や協業を発表
『全固体電池』はリチウムイオン電池の電解質を可燃物である液体から固体に変えることで発火の可能性を無くし構造が簡素化できます。また、出力や充電速度も向上するなどのメリットがあります。『全固体電池』は2011年にトヨタ自動車と東京工業大学菅野教授が共同研究を通じて材料の候補物質を発見し、現在では多くの企業が開発を手掛けています。
トヨタ自動車は2017年12月に、2030年までに『全固体電池』など車載用電池に1兆5,000億円を投資することや車載用リチウムイオン電池でシェア4割を占めるパナソニックとの協業検討を発表しました。
【今後の展開】電気自動車の本格普及に向け『全固体電池』の開発競争は加速
『全固体電池』は量産技術など克服すべきハードルが高く、本格生産は2020年台前半と見られています。知的財産を抑えるトヨタ自動車が開発で先行していますが、2017年9月には英ダイソンがEVに参入し、『全固体電池』に約1,500億円を投資し、2020年台前半までに同電池を搭載したEVを発売すると表明しました。開発競争が加速する中で、より便利で価格が安いEVが早期に利用できるようになることが期待されます。
※個別の商品及び関連企業に言及していますが、これらを推奨するものではありません。