仮想通貨の黎明期に誕生したアルトコイン

 時間総額ランキング6位のライトコイン(Litecoin)は、Google社の元エンジニアだったチャーリー・リー氏が2011年10月に公開した仮想通貨です。数多く生まれているアルトコインの中でも初期に登場し、成長を続けながら現在までその価値を維持し取引されています。※データはCoinmarketcapより。2月9日現在

 

ビットコインをベースに利便性に特化

 ライトコインはビットコインと同じく中央管理体のいないオープンソースの仮想通貨で、不特定多数の参加者のマイニングによってネットワークが維持されます。発行上限も決められており、上限は84万ライトコインです。

 また、ビットコインのプログラムをベースに作られているので基本となる仕組みはビットコインと同じですが、ビットコインの持つ問題点を改善してより使いやすくすることを目指して開発され、「取引承認時間が速い」「発行量がビットコインの4倍」「ビットコインと異なる暗号方式の採用」という大きな3つの特徴があります。

 ビットコインに先駆けて、取引処理能力を向上させる技術施策「Segwit」を実装したことで話題性と期待度が高まりました。

 

特徴1「取引承認時間が速い」

 ライトコインは取引承認にかかる時間が約2分30秒と短く(ビットコインは現状では約10分)、利便性の面で優れています。また、手数料の減少・少額送金・送金スピードのアップを実現できると言われるライトニングネットワークの導入に向けても、ビットコインに先駆ける形でSegwitを採用するなど一歩リードしています。

 しかしその利点の一方、承認時間の短さが悪意ある改ざんへのセキュリティレベルを下げているのではないかという指摘や、データサイズの肥大化の恐れなどが懸念されているという面もあります。

 

特徴2「発行量がビットコインの4倍」

 発行上限が8,400万という数字は、ビットコインのインフレ率に合わせて計算したものです。ビットコインは約10分ごとにマイニング報酬として新たなビットコインが生成されますが、ライトコインは約2分半でコインが生成されます。つまりビットコインの4倍のスピードでコインが生成されていきますので、それに従い発行量もビットコインの4倍に設定されているのです。

 

特徴3「ビットコインと異なる暗号方式の採用」

 ライトコインが採用している「Scrypt」という方式は、当初ビットコインの採用している方式より計算が複雑で、メモリを多く必要としました。一方、ビットコインはマイニング専用の特定用途向け集積回路(ASIC)が導入されており、特定の環境がないとマイニングへの参加のハードルがとても高い状態でした。しかし、「Scrypt」はまだASICが開発されておらずマイニング参加が比較的容易だったため、多くの人が携わることができました。

 現在は「Scrypt」に対応した専用ハードウェアASICが開発されていて、少ないコストでマイニングが可能になっています。

 

今後の展望は?

 2018年のライトコインは、2017年ほどではなくとも変わらず成長を続けるだろうというのが大方の見方です。しかし、2017年8月に登場したライトコインと類似する特性を持ったビットコイン・キャッシュの存在が、ライトコインにとって大きな脅威となるかもしれません。

 開発者のチャーリー・リー氏は、ライトコインを仮想通貨の主流に引き上げることを目標にライトコインの計画すべてをオープンにしています。また、自分の発言の影響の強さを考慮し、価格操作を行っていると思われないために、保有するライトコインをすべて売却し開発に専念しています。開発者の献身と利用者のサポートによりいかに他のアルトコインより優位性を維持できるかがライトコインの今後の成長の鍵となりそうです。