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 政府は16日に衆参両院の議院運営委員会理事会で、黒田東彦『日銀総裁』の再任と、2名の新副総裁の人事案を提示しました。政府は3月中旬までに衆参の本会議での採決を目指します。黒田総裁は就任後、積極的な金融緩和を実施し、景気回復や円安・株高を牽引してきました。今後も、引続き異次元の金融緩和を継続してデフレの脱却を目指すとみられます。

 

【ポイント1】政府は『日銀総裁』の再任と新副総裁の人事案を提示

3月中旬までに採決を目指す

 政府は16日午前、衆参両院の議院運営委員会理事会で、4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を提示しました。また3月19日に任期満了となる中曽宏、岩田規久男両副総裁の後任として、日銀の雨宮正佳理事と早稲田大学の若田部昌澄教授を充てる案も示しました。積極緩和派を起用して、引き続き脱デフレを後押しするという意図がうかがえる人事案となりました。政府は、3月中旬までに衆参の本会議での採決を目指します。

 

【ポイント2】黒田総裁は異次元の緩和を推進

副総裁には「リフレ」派を起用

 

 黒田総裁は就任まもない2013年4月に2年で2%の「物価安定の目標」の実現を表明し、量的・質的金融緩和を導入、その後もマイナス金利導入、ETFでのリスク資産の買入れ限度額の拡大、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」など積極的な金融緩和を推進しました。黒田総裁による異次元の金融緩和は、アベノミクスを受けた景気回復や円安・株高の原動力となりました。一方で物価目標は未達であり、マイナス金利導入による金融機関の収益悪化への影響などが懸念されています。

 新任副総裁候補の雨宮氏は日銀で金融政策を立案する企画担当が長く、理事として黒田氏を支え、長期にわたり政策立案の中心となってきました。若田部氏は金融緩和を訴える積極的な「リフレ」派とされ、特に量的緩和には積極的とされます。

 

【今後の展開】『日銀総裁』再任は予想通りで市場には安心感

『日銀総裁』の再任は予想通りとはいえ、副総裁には積極的な「リフレ」派が起用され、物価目標の2%達成など現行の異次元の金融緩和が継続される公算が強まり、市場には安心感が出ています。昨年から一部で出ていた政策の正常化や、修正の思惑は後退するとみられます。

 現状では米国の長期金利が上昇しているにもかかわらず、円高が進み、株価も不安定な動きとなっていますが、市場が落ち着きを取り戻せば、日米金利差拡大は円安要因になるとみられます。