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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手やコンビニエンスストアの店長など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。1月の『街角景気』は、現状判断DIが前月から大幅に低下して、景気判断の分岐点とされる50ポイントを6カ月ぶりに下回りました。当社独自のテキストマイニング分析の結果によると、天候要因が大きく影響したようです。

 

【ポイント1】現状判断DIは50ポイントを下回る

先行き判断DIは3カ月連続の低下

 1月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月の53.9から4.0ポイント下落して49.9と、景気判断の分岐点とされる50ポイントを6カ月ぶりに下回りました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全ての項目で前月よりDIが悪化しました。特に家計動向関連の小売関連の下落幅が5.4ポイントと、大きく悪化しました。

 先行き判断DIは前月から0.3ポイント下落して52.4となりました。家計動向関連、雇用関連が悪化した一方、企業動向関連は上昇しました。先行き判断DIの悪化幅は現状判断DIに比べて小幅にとどまり、先行きの期待感が維持されていることから、マインドの悪化は天候要因による一時的なものと考えられます。

 

【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

天候要因や野菜価格高騰に関するコメントが増加

 

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、現状判断では、「大雪」、「寒波」や、「野菜」、「高騰」といった単語の使用が増加しました。現状判断DIの大幅な悪化は、天候要因による経済活動の滞りと、そこから派生した生鮮価格上昇の影響が大きかったと考えられます。一方、先行きについては、「節約」や「不安」に関わる単語の使用は減少するとともにポジティブな単語の使用頻度が上昇しました。先行きへの期待感はむしろ改善しているようです。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】天候要因の回復とともにDIは改善へ向かうと期待

 内閣府は、基調判断を「天候要因等により一服感がみられるものの、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、人手不足やコストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」としました。大雪や野菜、燃料価格の高騰などをもたらした今冬の寒波は2月も影響したとみられますが、春に向けて徐々に和らぐ見通しです。天候要因の回復とともに、景況感が上向くことが期待されます。