世界の金融市場を動揺させた欧州債務危機から早や3年、これまで欧州の景気後退が株式市場の重石となっていましたが、ようやく明るい兆しが見えてきたようです。ユーロ圏の域内総生産(GDP)は、2013年4-6月期に7四半期ぶりに前期比プラスに転じ、以後3四半期連続でプラス成長を維持しています。2014年のGDP見通しについても、欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)が上方修正するなど、景気回復への期待が膨らんでいます。今回は、さらなる株価上昇が期待される欧州株式ファンドについて取り上げてみましょう。

欧州株式市場が注目される3つの理由

その1:景気指標の改善

欧州では、PMI(購買担当者景気指数)が景気拡大と悪化の分岐点である50を超える水準へ回復するなど、景気拡大の兆しが見られることに加え、欧州株のEPS(1株当たり利益)は、2015年にかけて約66%成長すると予想されています。企業活動の活発化と利益成長による今後の株価上昇が期待されます。

(出所: ブラックロック作成の販売用資料より)

(出所: フィデリティ投信)

その2:欧州債務問題は沈静化の方向

ギリシャ、ポルトガル、イタリアといった南欧諸国では、政府債務の増大懸念を受けて長期金利が一時急騰しましたが、その後の財政再建への取り組みを背景に、低下傾向にあります。また、欧州各国の財政収支は着実に改善に向かっており、欧州株の上昇を後押しする要因になると期待されています。

(出所: ブラックロック作成の販売用資料より)

その3:日米株式市場と比べて出遅れ感がある欧州株式市場

これまで日米欧の中央銀行が協調して金融緩和を推し進めてきたことで、先進国の株式市場はいずれも上昇してきましたが、ここにきて米国と日欧の緩和スタンスに温度差が生じています。米国が金融緩和を縮小し出口戦略に向かう一方で、欧州は引き続き追加緩和の可能性を残すと見られており、こうした見方は欧州株式市場を下支えすると考えられます。

(出所: ブラックロック作成の販売用資料より)

また、欧州債務危機以降、日米欧の株価の上昇を見ると、欧州株には出遅れの感があり、PERや配当利回りなどの指標を見ても相対的に割安な水準となっています。景気回復の期待も相まって今後は欧州株式市場への資金シフトが期待されます。