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米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、2018年2月に4年間の任期を終えます。その後任として、トランプ大統領はパウエル現FRB理事を指名しました。同氏は議会上院での公聴会や承認を経て、18年2月に議長に就任します。FRBは金融政策を通じて、米国経済のみならず世界経済に大きな影響を及ぼします。それだけにパウエル新議長のもとで、「金融政策が如何に遂行されるのか」、注目されるところです。
【ポイント1】パウエルFRB次期議長はコンセンサスを重視
FOMCの投票権保有者の顔ぶれが重要
パウエルFRB次期議長は、利上げに慎重なハト派といわれます。しかし、12年にFRB理事に就任して以来、米連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じたことが一度もなく、金融政策に関する自身の見解を述べることが少ないことから、コンセンサスを重視し、状況次第で臨機応変に対応しようとする姿勢が窺われます。今後の金融政策を見通すうえでは、FOMCの投票権保有者の顔ぶれが重要といえるでしょう。
【ポイント2】18年のFRBはタカ派、ハト派の勢力が拮抗
中立の立場をとるメンバーの動向が注目されよう
FOMCは、FRBの理事7名、ニューヨーク(NY)連銀総裁、その他11の地区連銀総裁から選ばれる4名の計12名で構成されています。
このうちFRB理事とNY連銀総裁は常に投票権を持つ常任、残り4名はNY連銀を除く11の地区連銀のなかから1年ごとに輪番交代で投票権が与えられます。イエレン現議長が退任すると、18年の投票権保有者は9名になります。
投票権を持つ9名の政策スタンスを、講演内容等から推測すると、右表のようになります。立ち位置が明らかではないメンバーを、敢えて分類すればクォールズ副議長はハト派、バーキン・リッチモンド総裁はタカ派、グッドフレンド理事は中立といったところでしょうか。
【今後の展開】金融政策については、イエレン路線が継続される見通し
こうして見ると、FOMC内のタカ派、ハト派は勢力が拮抗しています。さらに、中立の立場をとるダドリーNY連銀総裁は今年半ばまでに退任する意向です。その後任を含め、空席を埋める新しいメンバーが誰になるのか、今後の注目点といえます。
もっとも、物価が落ち着いていることを踏まえると、新しいメンバーの立ち位置如何にかかわらず、金融政策はイエレン現FRB議長の路線、すなわち「緩やかなペースでの金融緩和の解除」が踏襲される可能性が高いと考えられます。