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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手やコンビニエンスストアの店長など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。12月の『街角景気』は、現状判断DIが5カ月ぶり、先行き判断DIは2カ月連続で下落しましたが、いずれも景気判断の分岐点50を上回りました。街角の声を、当社独自のテキストマイニングにより分析した結果も併せてご紹介します。
【ポイント1】現状判断DIは5カ月ぶりに悪化
先行き判断DIも2カ月連続悪化ながら高水準を維持
■12月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月の54.1から0.2ポイント下落して53.9と、5カ月ぶりの悪化となりました。内訳を見ると、家計動向関連と雇用関連がそれぞれ0.4ポイント、0.6ポイント下落しました。一方、企業動向関連は0.4ポイント上昇となり、2カ月ぶりに改善しました。
■先行き判断DIは前月より0.7ポイント下落して52.7と、2カ月連続で悪化しました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てでDIが悪化しました。ウォッチャーのコメントから、人手不足や燃料価格の高騰によるコスト高を指摘する声が多く見られました。ただし、現状判断DIと先行き判断DIのいずれも景気判断の分岐点である50ポイントを上回る高水準で推移しており、マインドの悪化は一時的と考えられます。
【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析
先行きのコスト高に関するコメントが増加
■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、「北朝鮮」や「不安」といったコメントがやや増加したものの、コメント数は低水準でした。先行きについては、ネガティブな単語の使用比率は増加しませんでした。一方で、燃料や材料費の「高騰」、「人手不足」などの使用数が増加しており、前月に引き続き先行き景況感の重石になっている面があるようです。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。
【今後の展開】マインド悪化は一時的だが燃料費高騰の影響は注意が必要
■内閣府は、基調判断を「緩やかに回復している。先行きについては、人手不足やコストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」と据え置きました。実質GDP成長率が7四半期連続でプラス成長になるなど、緩やかながら景気は回復基調にあり、今後も続くと見られます。ただし、原油価格など燃料価格の上昇によるコスト増の影響には注意が必要です。