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 現在の安倍政権になってから丸5年が経ち、日本経済はアベノミクスによる拡大が続いています。また日本だけではなく、先進国も新興国も経済成長は堅調で、『世界同時景気回復』の中にあると言えます。ただし、インフレ率は低位で落ち着いています。このため、金融の正常化を進める米国や欧州では、利上げなどはゆっくりとしたスピードになると考えられ、景気回復の勢いを削ぐことなく、来年も『世界同時景気回復』が続くと見られます。

 

【ポイント1】先進国、新興国ともに経済成長が加速

一方で、インフレ率は低位で安定

■国際通貨基金(IMF)の最新の予測(2017年10月)によると、先進国の実質経済成長率は2016年の前年比+1.7%から、2017年は同+2.2%へと加速する見込みです。また、新興国も2016年の同+4.3%から2017年は同+4.6%へと加速する見込みです。

■一方、2017年のインフレ見通しは、先進国は前回7月の予測から0.2%下方修正されて+1.7%、新興国は0.3%下方修正されて+4.2%となるなど、インフレ率は低位で落ち着いています。この背景には、失業率の低下など雇用環境の改善の一方で、賃金があまり上昇していないことなどが挙げられます。

 

【ポイント2】欧米の金融政策は緩やかに正常化

日銀の金融緩和は当面現状維持の見込み

 

■堅調な経済成長を背景に、欧米の中央銀行は金融の正常化を進めています。米連邦準備制度理事会(FRB)は、2015年12月から緩やかなペースで利上げを開始し、2017年10月には保有資産(バランスシート)の縮小も開始しました。また、欧州中央銀行(ECB)は2018年1月から量的緩和策である資産購入プログラムの規模半減を決定しました。

■一方日銀は、今年は金融緩和策を変更しませんでした。インフレ率は日銀の予想を下回り続けており、当面は現在の金融緩和姿勢が続くと見られます。

 

【今後の展開】景気回復は新興国にも広がり、『世界同時景気回復』が続く

■『低インフレ』が続いていることから、FRBの利上げペースは今後も緩やかなものにとどまり、ECBの利上げは2019年以降となりそうです。このため、利上げが経済成長を抑制する可能性は低いと見られます。また、ここ数年資源価格の下落などによって経済成長の落ち込みが見られた中南米などの新興国では、資源価格の回復や、インフレ率の低下により利下げが可能となったことの効果が表れ、景気が回復しています。こうした『低インフレ』による緩和的な金融政策に支えられ、2018年も『世界同時景気回復』が続くと期待されます。