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#8:原油は「減産」から「シェア争い」。金は地政学リスクで堅調か
吉田 哲
特集記事

#8:原油は「減産」から「シェア争い」。金は地政学リスクで堅調か

2017/12/22
・[2017年原油]減産延長により高値になった
・[2018年原油]米国台頭でシェア争い勃発か!?
・[2017年金] リスクの中、安定の金
・[2018年金] やっぱり安定の金
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経済のプロ「楽天証券研究所」と、国民のリアル「街角の声」、運用のプロ「ファンドマネージャー」に2017年の振り返りや2018年の見通しを大特集!

【原油】

2017年振り返り

減産延長により高値になった2017年

 メイントピックは「OPECの減産スタート・2度の延長合意」。減産が始まったのは2017年1月。減産は産油国が意図して原油の生産を減少させる行為です。

 今回はOPEC(石油輸出国機構)・ロシアをはじめとした非OPECの合計24カ国で行われているため(原油生産の世界シェアは、筆者推定で合計およそ6割)、供給減少→需給引き締まり→原油価格上昇、という連想が働きやすくなっています。

 2017年5月のOPEC総会では当初6月までだった減産の期限を2018年3月まで、11月の総会ではさらに延長して2018年12月までとすることが決定。

 2017年は減産延長への議論がきっかけとなり、原油価格が上昇する場面が散見されました。延長への議論が最も大きく高まった11月下旬には、原油価格は減産開始後の高値となる1バレル59ドル台に達しました。

 2度の延長決定によって、減産は丸2年、実施されることとなりました。減産の延長が安心感を生み、市場はそれを好感し、原油市場は2017年12月半ば時点で50ドル台後半を維持しています。

2018年予想

米国台頭でシェア争い勃発か!?

 キーワードは「減産が中断されるリスク」。目下、米国の原油生産量は史上最高水準まで増加。背景には原油価格の上昇があげられます。

 一方、米国とともに世界生産シェアトップ3に入る原油生産量を誇るサウジアラビアとロシアは、2018年末まで減産を継続することになっています。

 2018年は、原油生産量が増加中の米国、減産のため生産量を増やすことができないサウジアラビア・ロシア、という構図でスタートします。

 この構図が続けば、2018年中にも米国の生産量はサウジやロシアの原油生産量を追い抜く可能性があります。(図参照)

図:米国とサウジアラビアの原油生産量の推移 単位:百万バレル/日量
2017年12月以降の米国の生産量が米エネルギー省の見通し
出所:OPEC・米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

 このような状態が発生したとき、何が起きるのでしょうか?

 筆者は、2014年末に起きたような“シェア争い”が勃発する可能性があると考えています。

 2017年11月の総会では2018年12月まで減産を継続することが決まりましたが、同時に、2018年6月の総会で一旦進捗状況を確認することも決まっています。

 この進捗状況の確認のタイミングで、米国の原油生産量がサウジの生産量に肉薄あるいはサウジを上回る状況となっていれば“シェア維持”を根拠に、減産は中止、あるいは規模が縮小される可能性があります。

 米国の原油生産量の増加を発端とした、シェア争いの勃発、減産体制の不安定化は、2018年の原油価格を乱高下させる要因となると筆者は考えています。

 

【金】

2017年振り返り

リスクの中、安定の金

 メイントピックは「ドル金利の上昇による下落圧力を世界で散発するリスクの発生が相殺」

 2016年12月に1年ぶりの利上げに踏み切ったFRB(米連邦準備制度理事会)ですが、その後も2009年から2014年まで断続的に実施した金融緩和策から方針を転換し、金融正常化に向けた出口戦略を推し進め、2017年は合計3度、利上げを実施しました。

 利上げによって見込まれるドル金利の上昇は、ドルと逆の値動きとなる傾向がある金(ドル建て)にとっては下落要因となります。ドルを持つ妙味が増せば、金からドルへ資金がシフトする動きが強まるためです。

 しかし2017年は、ほぼ通年でドル金利引き上げの話題がありながらも、金価格は底堅く推移しました。

 上昇要因となり得る世界で散発するさまざまリスクが、下落要因を相殺したためだと考えられます。

 2017年に顕在化した北朝鮮問題、中東情勢などを中心に、さまざまなリスクが世界で蔓延していますが、このリスクの蔓延こそが、下落要因がありながらも、金価格が底堅く推移した要因であったと考えられます。

2018年予想

やっぱり安定の金

 キーワードは「各種リスクが醸し出す緊張感が、引き続き金価格を下支えする」。下落要因となり得る「米国の利上げ」は、2018年も複数回行われる可能性があります。

 仮に、利上げが行われてドルの先高観が強まり、金価格が下落する可能性が高まったとしても、2017年と同様、世界で散発するリスクという上昇要因が相殺する可能性があります。

 また、利上げのタイミングや規模がある程度予想できる環境にあるため、2018年はほぼ通年で、報じられる予想をその都度織り込みながら(将来の利上げを織り込みながら)価格が推移することが予想されます。

 つまり、2017年と同様、米国の利上げが大きな下落要因にはならない可能性があります。

 一方、2017年に顕在化した北朝鮮や中東でのリスクは、顕在化からある程度時間が経過したものの、いまだに根本的な解決を見出していません。

 むしろ、解決が困難な方向に向かっている面もあると見ています。このため、2018年は2017年同様、あるいはそれ以上にリスクが高まる可能性はあると考えています。

 そしてそのリスクの高まりは、金価格を下支えすると筆者は考えています。

 

 

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