経済のプロ「楽天証券研究所」と、国民のリアル「街角の声」、運用のプロ「ファンドマネージャー」に2017年の振り返りや2018年の見通しを大特集!
2017年振り返り
国内外の景気拡大が後押し。日経平均は歴史的な節目に
いわゆる「トランプラリー」の株高を受けて始まった2017年の日経平均株価ですが、春先から夏場にかけては、1万9,000円台、2万円台と、節目の水準が意識されながらのもみ合いが2~3カ月間続いた後、ポンと水準を一段切り上げる展開となっていました。
もみ合いのレンジ相場が長期にわたって継続したため、どちらかというと、下値の堅さよりも上値の重たさのほうが勝る、こう着感が漂っていました。しかし、秋口に入ってからは、そのモヤモヤを吹き飛ばすかのように、一気に上値を追う展開に転じました。
国内外の景気拡大基調をはじめ、海外株式市場と比べた日本株の出遅れ感、業績面による国内企業への再評価などを背景に、外国人投資家を中心とした買いが入ったことで、日経平均は2万1,000円台、2万2,000円台の節目を次々に突破。取引時間ベースでは2万3,000円台に乗せる場面も見せました。そして気付けば、約26年ぶりの高値水準まで上値を伸ばし、歴史的な節目を超えています。
もともと2017年の金融市場は、トランプ米大統領の誕生をはじめとして、仏大統領選挙や独議会選挙、英国のEU(欧州連合)離脱交渉、中国の共産党大会など、「政治・外交が左右する年になる」と言われていました。
国内でも衆議院の解散総選挙が行われたほか、北朝鮮情勢についても、ほぼ年間を通じて警戒の解けない状況が続きました。
ただ、振り返ってみれば、景況感と企業業績で日経平均が上昇したかっこうになっており、新たな相場の萌芽(ほうが)さえも感じさせる、意義深い年になった印象です。
2018年予想
企業業績に期待感。トランプ政策、中間選挙、中国の動向がリスク要因となるか
2018年の株式相場の見通しですが、企業業績に対する期待感は根強く、今のところ「どこまで上昇するか?」という先高感が優勢の印象で、実際に、2018年度の企業業績は純利益で9%程度伸びると想定する金融機関が多くなっています。
一般的な株価の予想は、EPS(1株当たり利益)の成長に対して、妥当とされるPER(株価収益率)を掛けて算出されますが、この考え方に基づけば、12月12日時点での日経平均株価ベースの予想EPSが1,510円ほどだったので、ここから9%利益を伸ばせば約1,646円になります。
これに平均的なPERの値である15倍を掛ければ、日経平均は2万4,700円ぐらいまでの上昇はあり得るということになります。
図:日経平均(週足)の推移(2015年11月~2017年12月15日)
図のチャートのように、順調に株価が上昇していくのであれば、2016年に出現した「トリプルボトム崩れ」から描けるトレンドラインに沿ったイメージが想定されますが、その道のりは平坦ではないかもしれません。
日本株市場に多大な影響を与える米株市場は、12月に入ってもNYダウが連日で最高値の更新を演じるなど相場の強さを保っています。いずれは調整局面を迎えることになりますが、これまでリスク材料に対して鈍感になっている面もあったため、思っているよりも株価の調整幅が大きくなったり、調整の期間が長くなったりする可能性があります。
また、現在のところ好感されている米国の税制改革法案ですが、減税政策は本来、景気が良くないときに行うのがセオリーです。しかし、足元の米国経済は好調で、減税によって景気がさらに刺激されて過熱気味になれば、これを引き締めるためにFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを早めざるを得なくなるシナリオも浮上するでしょう。
そして、2018年はこれまでのトランプ政権の取り組みが評価される中間選挙が控えています。
一方、中国では国営企業改革や債務問題、バブル抑制などの課題を抱えており、引き締め的な政策姿勢が警戒されています。
さらに国内に目を向ければ、2019年秋に予定されている消費増税が景気に与える影響を織り込み始める動きが出てくる可能性もあります。
これらのことから、現時点で弱気になる必要はないものの、2017年と比べて2018年はリスクに向き合う機会が増えることになりそうです。
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